相続税専門税理士の富山です。
今回は、アパートや貸家の敷地の評価について、お話します。
土地は地番(住所のようなモノ)ごとに評価するのではない
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
7-2 評価単位
土地の価額は、次に掲げる評価単位ごとに評価することとし、土地の上に存する権利についても同様とする。
(1) 宅地
宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。
宅地は、利用単位ごとに評価します。
「○○市××町1000番地」「○○市××町1001番地」という地番ごと(筆ごと)に評価するワケではありません。
複数の賃貸物件が一段の土地に建っている場合
国税庁HPタックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4603 宅地の評価単位
(5) 貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地をいいます。)を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とします。
アパートや貸家の敷地については、その建物ごとの敷地を把握し、それぞれの敷地ごとに評価します。
でも、例えば「△△ハイツA棟」・「△△ハイツB棟」・「△△ハイツC棟」・「△△ハイツD棟」が一体となっている一つの土地の上に建っているような場合、それぞれの建物と建物の間に、フェンスなどの境界を示すモノはないケースがほとんどですよね?
フェンスなんか作ったら、車の出入りが難しくなっちゃったりしますから。
つまり、どこまでがA棟の敷地で、どこまでがB棟(・C棟・D棟)の敷地か、見た目では分からない、ということが多いと思うのですが、でも、「各棟の敷地ごとに1画地の宅地」として評価しなければなりません。
つまり、財産評価上、どこかに線を入れて、土地を切らなければならないのです。
路線価方式で計算する場合、土地の形状等により、評価額は大きく変わります。
「どのように切っても、全体の面積は同じだから、相続税の金額には影響ない」と考えるのは大間違いです。
様々な観点から検討し合理性のある線を入れる
「どこまでがA棟の敷地で、どこまでがB棟(・C棟・D棟)の敷地か」を考える際には、まず利用状況を考慮します。
車や人の流れ、駐車場の位置などです。
さらに、建ぺい率や容積率にも注意が必要です。
線を入れた後の各土地が、建築に関する法規に違反している状態になってしまっていたら、法律上あり得ない土地を評価することになってしまいます。
建築時の資料(役所に提出されているモノ)も参考になります。
お手元になければ、役所調査により確認することも検討しましょう。
想う相続税理士