【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

結婚・子育て資金の一括非課税贈与が贈与税・相続税の課税対象となるケースとは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」特例の適用を受けた後、その資金に課税が生じるパターンについて、お話します。


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もらってすぐに使わなくてもいい非課税贈与特例

結婚・出産・子育て等、段階的に係るお金を、必要な都度、親御さんなどから贈与を受けた場合、

相続税法(一部抜粋加工)
第21条の3 贈与税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない
二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

に該当すれば、贈与税はかかりません。

しかし、まとめて贈与すると、上記の非課税の取扱いは適用できません。

国税庁HP・扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A(一部抜粋加工)
数年間分の生活費又は教育費を一括して贈与を受けた場合において、その財産が生活費又は教育費に充てられずに預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費又は教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となります

でも、まとめて贈与できる仕組みがあります。

それが、結婚・子育て資金の一括非課税贈与特例です。

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
概要
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、受贈者(結婚・子育て資金管理契約を締結する日において18歳以上50歳未満の人に限ります。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等とのその結婚・子育て資金管理契約に基づき、贈与者(受贈者の直系尊属である父母や祖父母など。)から信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権または金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより贈与税が非課税となります。

結婚・子育て資金が贈与税の課税対象となる場合

受贈者(贈与を受けた方)が50歳になった場合、結婚・子育て資金管理契約は終了します。

この時点で、結婚・子育て資金の管理残額(使い残し)がある場合には、その管理残額を、受贈者が贈与者から贈与で取得したモノとみなされます。

想う相続税理士

贈与税の申告を「暦年課税」でする場合、令和5年4月以後に取得した信託受益権または金銭等に対応する部分については、(本来であれば、直系尊属からの贈与なので特例税率が適用できそうですが)一般税率で計算する必要があります。
その後、贈与者が3年以内にお亡くなりになり、その受贈者がその贈与者の相続で財産を取得した場合には、その契約終了時の管理残額相当額は、「生前贈与加算」の対象となり、相続税の課税対象となります(最終的に、相続税が課税されます)。

管理残額が贈与税の基礎控除額(110万円)以下で、贈与の時には贈与税の課税が生じなかったとしても、生前贈与加算の対象となります。

想う相続税理士秘書

結婚・子育て資金が相続税の課税対象となる場合

贈与されたお金なのに、相続税が課税される場合があります。

それは、贈与者が契約期間中にお亡くなりになった場合です。

管理残額(使い残し)を、受贈者(贈与を受けた方)が亡くなった贈与者から相続で取得したモノとみなされます。

受贈者が、「相続人に該当しない(相続により財産を取得できない)お孫さん」だったとしても、相続人の方と一緒に相続税の計算をし、相続税の申告・納付をする必要があります。

また、「相続人に該当しない(相続により財産を取得できない)お孫さん」は、相続税が2割増しで計算されるのですが(「相続税額の2割加算」と言います)、令和3年3月以前に取得した信託受益権または金銭等に対応する部分については、2割増し計算されません。

想う相続税理士

信託受益権または金銭等を取得した日の属する年の前年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税制度の適用を受けることができませんので、ご注意を。