相続税専門税理士の富山です。
今回は、倍率地域の土地に地積規模の大きな宅地の評価を適用する場合の計算方法について、お話します。
いつもの流れで計算すると間違える
倍率地域にある土地(宅地とします)の評価をする場合、その宅地の固定資産税評価額に、財産評価基準書の評価倍率表に記載されている倍率を乗じて計算します。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円で、倍率が1.1の場合、
1,000万円×1.1=1,100万円
となります。
この宅地に対して、地積規模の大きな宅地の評価を適用することができる場合、例えば、三大都市圏以外の地域にあり、面積が1,500㎡だとすると、規模格差補正率は、
(1,500×0.90+100)/1,500×0.8=0.77
となるため、23%の評価減が適用できます(100%△77%=23%)が、1,100万円に対して△23%評価するのは間違いです。
規模格差補正率は標準ベースの金額に適用する
倍率地域にある「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地については、
- その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額
- その宅地が標準的な間口距離および奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額
のいずれか低い価額により評価します。
具体的な計算方法
①は先ほどお話した、
1,000万円×1.1=1,100万円
です。
②については、別途1㎡当たりの近傍宅地の評価額を調べます。
これが8,000円/㎡だったとすると、
8,000円×1,500㎡×1.1=1,320万円
がベースとなり、この金額に対して23%評価減を適用することになるので、
1,320万円×0.77=10,164,000円
となります。
これだけで①の1,100万円を下回るので、②で計算した方が有利になりますが、この②の場合、さらに土地の形状等に係る評価減(奥行価格補正率等)を適用することができるので、その補正率が0.90だった場合、
10,164,000円×0.90=9,147,600円
となります。
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