【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

倍率地域にある雑種地の本当の正しい評価方法は?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における、倍率地域に所在する雑種地の評価方法について、お話します。


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補正率も市区町村役場任せ?

ネットを見ていると、倍率地域の雑種地の評価について税理士に質問している記述があり、その回答が、概ね

  1. 市区町村役場で、その土地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額を計算してもらう
  2. 評価しようとしている雑種地が、補正率が適用できるような土地であれば、その補正をした後の金額を教えてもらう(例えば、縦長の土地であれば、その縦長であるということにより使い勝手が悪くなる分の減額をしてもらう)
  3. 後は、倍率と面積を掛ければOK
という内容でした。

財産評価基本通達
82 雑種地の評価(一部抜粋)
雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地についてこの通達の定めるところにより評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。

このような場合、通常は、近傍宅地の1㎡当たりの評価額を確認し、補正率については、申告する側(税理士が土地の評価をするのであれば税理士)が計算するものだと思っていましたし、ずっと自分で計算してきました。

私が不勉強なのかもしれませんが、市区町村役場で補正後の宅地単価を教えてもらう、という経験がなかったので、色々調べてみました。

参考 固定資産評価基準総務省 参考 画地補正率表東京都主税局

不動産鑑定士の方のネットの記事を見ると、相続税評価と固定資産税評価では、例えば不整形地補正率の場合、ほぼ同じだが、相違点がある、と書かれていました。

確かに、上の総務省と東京都のどちらの不整形地補正率も、相続税申告で土地を評価する場合に使用する不整形地補正率とは異なるものでした。

同じ固定資産税評価でも、上の総務省と東京都で不整形地補正率は異なっています!

想う相続税理士秘書

手元にある専門書を確認すると、この補正率については、

「(注)奥行価格補正等の画地調整率は、普通住宅地区の調整率を採用します。」

と書かれていました。

相続税や贈与税の申告のための土地評価に関する書籍ですので、普通に考えれば、ここで言う調整率は、地方税(固定資産税)ベースではなく、国税(相続税)ベースの調整率のハズです。

国税(相続税)と地方税(固定資産税)でそれぞれ異なる補正率が存在するワケですが、冒頭の税理士は、市区町村役場の窓口で、相続税申告用の国税ベースの補正率を加味した評価額を教えてもらえたのでしょうか?(そんなことあり得ない)

必ずしも宅地ベースで評価するワケではない!

上記の通達の文章に、「その雑種地と状況が類似する付近の土地について・・・」とありますが、周りが宅地ではない雑種地の場合には、宅地ベースでは評価できません。

例えば、山林の中にある雑種地の場合には、

  1. 山林ベースで評価する
  2. その金額に補正率を適用する
  3. 実際には、その土地は山林ではなく雑種地、もっと値段が高いはず、どれだけ高いか、それは、山林を雑種地にするためのコストの分だけ高い、と考え、山林を雑種地にする場合にかかる宅地造成費を評価額に上乗せする
という流れで計算します。

建築制限などを加味する場合もある

宅地ベースで評価する場合でも、市街化調整区域にある雑種地の場合、市街化調整区域は、基本的に、建物の建築が抑制されているため、その抑制度合いに応じて、0%から50%の評価減を適用します。

つまり、宅地ベースで計算する場合でも、法的な規制により、本当に家が建てにくい場所の場合、評価額が半分になってしまうのです。

想う相続税理士

雑種地の評価と言っても、色々なパターンがありますので、ご注意を。