【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

遺留分と生命保険金の密な関係

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺留分と生命保険金の関係について、お話します。


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遺留分とは?

遺留分とは、「相続人に認められる法律上保障される最低限の遺産の取り分」のことです。

例えば、父が亡くなり、相続人が長男と次男の2人だったとします。

父が残した遺言が「全財産を長男に相続させる」という内容だった場合、次男は全く財産を相続できないかというと、そうではなく、ここで「遺留分」の話が出てきます。

次男には1/4の遺留分が認められているため(長男も同様)、次男が「遺留分侵害額の請求」をした場合には、長男はその侵害額に相当する金銭を次男に支払わなければなりません。

そうなると、長男は全財産を相続することができなくなります。

遺言は常に100%力を発揮する、というワケではないのです。

「遺留分に配慮した遺言」って言うけれど・・・

この場合、父が最初から次男に1/4を相続させる旨の遺言を書いていれば、次男は1/4を請求できなくなります(というか遺言で1/4もらえるので、それ以上請求できません)。

とはいえ、次男に渡せる財産がないケースも考えられます。

長男に関係する財産(長男の自宅が建っている土地)や、長男が父から会社を引き継いでいるような場合の会社関係の財産(会社が建っている土地など)は、当然、長男が相続したい、ということになります。

このような財産しかなければ、全財産を長男に相続させる、という遺言になってしまいますよね。

保険でお金を用意してあげる

長男に潤沢な自己資金があれば、それを次男に渡すことができますが、ない場合には、長男を受取人とした生命保険に入っておくと有効です。

この場合、長男が受け取る生命保険金は、原則として、遺留分の対象とはなりません。

生命保険金以外の財産の金額をベースに遺留分を計算します。

長男は計算された遺留分の金額を、生命保険金の中から次男に支払えばよいのです。

生命保険金の受取人を誰にするかが重要

上記の生命保険金を次男が受け取った場合、やはり次男は上記と同様、1/4の遺留分を請求することができます。

その次男の受け取った生命保険金は、次男のモノだからです。

遺留分相当額の財産をもらったことにはなりません。

財産を多くさせる相続人に、その多い財産に加えてさらに生命保険金も取得させるようにした方がいいのです。

想う相続税理士

生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」で計算される非課税枠(非課税限度額)があります。

生命保険金は、長男から次男に横流しされますが、生命保険金を受け取ったのは、あくまでも長男ですから、この非課税枠は、長男が受け取った生命保険金に適用されます。

例えば、長男が相続した財産が土地6,000万円・生命保険金1,500万円だとします。

この1,500万円の生命保険金を受け取り、そのまま次男に渡した場合、次男の課税対象は1,500万円(現金)です。

それに対し、長男は
土地6,000万円+生命保険金1,500万円△生命保険金非課税1,000万円(500万円×2人)△次男への支払1,500万円
=5,000万円
となり、6,000万円の土地が手許にあるのに、課税対象は5,000万円で済んでしまうことになります。