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遺留分は遺言や生前贈与でも奪うことのできない最低限の財産の取り分

今回は、遺留分について、Q&A形式でお伝えします!

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法定相続分と遺留分は違う

「遺留分」という言葉を聞いたことがあるのですが、前回お聞きした「法定相続分」とはどう違うのでしょうか?

法定相続分は民法に規定するあくまでも基準(目安)的な相続割合

「遺留分」は、一定の相続人に保障されている最低限の財産の取り分のことです。

「法定相続分」は、民法に規定する基準(目安)的な取り分です。

ザックリ言うと、前回の記事でもお話したように、相続財産をどう分けようが自由なのですが、遺産分けがモメてしまった場合、いくら自由と言っても、それじゃいつまで経っても遺産分けが決まらなくなってしまいますから、そのような場合に基準(目安)とするのが、「法定相続分」です。

それに対して、「遺留分」はどう違うかという点については、まず、下記の民法の条文をご覧いただきたいと思います。

民法(一部抜粋加工)
(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

つまり、

受遺者・・・遺言で財産を取得する方
受贈者・・・生前贈与により財産を取得した方

が、遺言や生前贈与により財産を多く取得する(した)ことにより、(他の)相続人が財産をちょっとしか相続できない、または、全く相続できない、というような状況になった場合、その(他の)相続人が希望する場合には、受遺者・受贈者の方に対して、お金を請求(遺留分侵害額の請求を)することができるのです。

その場合に出てくるのが、「遺留分」なのです。

遺留分の割合までは、財産(や請求によりお金)を取得できる、ということになります。

遺留分は原則として法定相続分の半分(例外有)

実際に、遺留分はどのように決まっているんですか?というか、どう押さえればいいんでしょうか?

ポイントは3つです。

遺留分は法定相続分の半分(例外3パターン有)

まず、「遺留分は法定相続分の半分(の場合がほとんど)」と押さえてください。

下記の青字の部分です。

相続人 法定相続分 遺留分
配偶者と子 配偶者:1/2
子:1/2
配偶者:1/4
子:1/4
配偶者と父母 配偶者:2/3
父母:1/3
配偶者:1/3
父母:1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹1/4
配偶者:1/2
兄弟姉妹:なし
配偶者のみ 1(100%) 1/2
子のみ 1(100%) 1/2
父母のみ 1(100%) 1/3
兄弟姉妹のみ 1(100%) なし

例外①:兄弟姉妹には遺留分はない

兄弟姉妹は「第3順位」として相続人になり得ますが、遺留分はありません。

下記の赤字の部分です。

相続人 法定相続分 遺留分
配偶者と子 配偶者:1/2
子:1/2
配偶者:1/4
子:1/4
配偶者と父母 配偶者:2/3
父母:1/3
配偶者:1/3
父母:1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹1/4
配偶者:1/2
兄弟姉妹:なし
配偶者のみ 1(100%) 1/2
子のみ 1(100%) 1/2
父母のみ 1(100%) 1/3
兄弟姉妹のみ 1(100%) なし

例外②:配偶者のみの場合には1/2

「法定相続分の半分」だと、下記の赤字の部分は3/8になるはずですが、兄弟姉妹に遺留分がないため、遺留分が認められる相続人が配偶者のみになります。

この場合には、3/8ではなく、1/2になります。

相続人 法定相続分 遺留分
配偶者と子 配偶者:1/2
子:1/2
配偶者:1/4
子:1/4
配偶者と父母 配偶者:2/3
父母:1/3
配偶者:1/3
父母:1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹1/4
配偶者:1/2
兄弟姉妹:なし
配偶者のみ 1(100%) 1/2
子のみ 1(100%) 1/2
父母のみ 1(100%) 1/3
兄弟姉妹のみ 1(100%) なし

例外③:父母のみの場合に1/3

「法定相続分の半分」だと、下記の赤字の部分は1/2になるはずですが、父母のみの場合には、1/2ではなく、1/3になります。

相続人 法定相続分 遺留分
配偶者と子 配偶者:1/2
子:1/2
配偶者:1/4
子:1/4
配偶者と父母 配偶者:2/3
父母:1/3
配偶者:1/3
父母:1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹1/4
配偶者:1/2
兄弟姉妹:なし
配偶者のみ 1(100%) 1/2
子のみ 1(100%) 1/2
父母のみ 1(100%) 1/3
兄弟姉妹のみ 1(100%) なし

想う相続税理士

相続人が「配偶者と兄弟姉妹」の場合、遺言を作成すれば、配偶者に全財産を相続していただくことができます。

逆に、兄弟姉妹に全財産を相続させる、という遺言を作成しても、配偶者が遺留分侵害額の請求をすれば、配偶者は兄弟姉妹から、全財産の半分相当額の金銭の支払を受けることができます。