相続税専門税理士の富山です。
今回は、法定相続分で遺産分けをする場合の相続税申告について、お話します。
法定相続分で遺産分けをする場合には遺産分割協議書は不要
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4132 相続人の範囲と法定相続分
概要
法定相続分
法定相続分は次のとおりです。
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の持分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
<配偶者と子供が相続人である場合>
配偶者2分の1 子供(2人以上のときは全員で)2分の1
相続人が妻・子供の2人である場合、法定相続分は、妻1/2・子供1/2となります。
このように遺産分けをするのであれば、例えば、不動産の相続登記をする場合でも、遺産分割協議書は不要です。
遺産分割協議に特別代理人や成年後見人が登場する場合
相続人の中に、未成年者の方や精神上の障害等がある方がいらっしゃる場合には、遺産分割協議に「特別代理人」や「成年後見人」が登場します。
そのような場合には、原則として、法定相続分による遺産分割となります。
裁判所HP・後見人等の職務Q&A(一部抜粋加工)
Q12 遺産分割に当たっての留意点
近々遺産分割が予定されていますが、被後見人は相続人の1人です。遺産分割協議にあたり、被相続人の相続分(取り分)をどのように決めたらよいか、思案してい
ます。
A 遺産分割協議では、後見人は、相続人となった被後見人の代理人として協議に関わりますが、基本的には、法定相続分(民法900条参照)が被後見人の取り分と考えて、その相当額の財産を被後見人が取得できるように協議に臨んでください。
「相続人の中に未成年者の方や精神上の障害等がある方がいらっしゃる」場合には「原則として法定相続分による遺産分割となる」のであれば、「法定相続分による遺産分割」の場合には「遺産分割協議書は不要」になるので、遺産分割協議書なんて作成せず、結果として「特別代理人」や「成年後見人」に登場してもらわなくても損することはないのでしょうか?
遺産分割協議書の添付が要件となっている特例がある
相続税の申告における「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」は、遺産分割協議書(または遺言書)の写しを申告書に添付することが要件となっています。
「特別代理人」や「成年後見人」が登場せずに法定相続分で遺産分けをした場合には、遺産分割協議書がないため、上記の特例の適用を受けることができません。
特別代理人のパターンでお話すると、未成年者の方がいる場合の遺産分けに係る遺産分割協議書には、未成年者の方は署名・押印できません。
特別代理人が署名・押印します。
「特別代理人」が登場しないのであれば、仮に遺産分割協議書を作成したとしても、その遺産分割協議書の押印が揃わない、ということになりますので、それは効力のある遺産分割協議書とはなりません。
想う相続税理士