相続税専門税理士の富山です。
贈与を受けると、贈与税を納めなければならない場合があります。
贈与税を納めるのは「財産をもらった方」です。
子供が親から贈与を受けた場合、贈与税の申告・納税の義務があるのは、受贈者である子供です。
今回は、子供が親から多額の贈与を受けた場合に、税金についてどのように考えればいいのか、について、お話します。
コンテンツ
非課税贈与に該当しないかチェックする
親から子供への贈与の場合、下記の非課税贈与に該当すれば、贈与税は課税されません。
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4405 贈与税がかからない場合
概要
贈与税がかからない財産
2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
9 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
10 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
11 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
贈与税の課税方法は2パターン
子供が親から贈与を受ける場合、一般的な「暦年課税」に加え、一定の要件に該当すれば、「相続時精算課税」を選択することができます。
それぞれ、年間110万円の基礎控除額がありますが、多額の贈与を受けた場合だと、基礎控除額を軽く超えてしまうモノと思われますので、どちらを選んだ方が有利になるか、その課税方法の内容をきちんと確認する必要があります。
暦年課税は贈与税率がどんどん高くなる
暦年課税は110万円の基礎控除額を超えると贈与税が発生し、金額が大きくなればなるほど税率も高くなるため、贈与税が多額になる可能性があります。
相続時精算課税は永久適用
長男が父からの贈与について相続時精算課税を選択すると、その父からの贈与については、その後の贈与についても相続時精算課税が適用されます。
父からの贈与について相続時精算課税を選択していても、母からの贈与については暦年課税が適用可能です(もちろん、母からの贈与についても要件を満たせば相続時精算課税を選択できます)。
相続時精算課税は100%相続時まで引っ張られる
相続時精算課税による贈与は、2,500万円の特別控除額があるため、贈与税がかかりにくく、また、かかったとしても、税率が20%で一定であるため、贈与税はそれほど多額にはならない傾向にあります。
ただし、相続時精算課税による贈与は、相続時に必ず相続税の課税対象になります。
贈与時に贈与税が課税されなくても、(その分)相続時に相続税が課税される可能性があるのです。
ただし、相続時精算課税による贈与財産の金額を加算しても、全体の財産の金額が小さく、遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)以下となった場合には、結果的に相続税はかかりません。
暦年課税による贈与は生前贈与加算に注意
それに対して、暦年課税贈与は、基本的には贈与税を申告・納付したら課税は完結しますが、もし、贈与者が亡くなった際に、その贈与者から相続で財産を取得した場合、贈与時期が生前贈与加算の対象期間(3年~7年)に該当すると、その贈与財産は相続税の課税対象になります。
相続税の課税対象になると他の相続人に贈与がバレる
相続税は、基本的に、相続人全員で一緒に申告します。
その際、相続時精算課税による贈与や生前贈与加算の対象となった暦年課税による贈与があると、それが他の相続人にバレます。
想う相続税理士