相続税申告における土地の評価単位
土地は登記簿上の1単位ごと(1筆ごと)に評価するワケではない
2筆の土地を1単位として評価する(まとめて1つの土地として評価する)こともあれば、1筆の土地を2単位で評価する(2つに分けて評価する)こともある
相続税申告において、この評価する単位(評価単位)を決めることは極めて重要である
A土地とB土地を別々に評価(2単位で評価)した場合のそれらの相続税評価額の合計額と、A土地とB土地を一つの土地として評価(1単位として評価)した場合の相続税評価額は、イコールになることもあるが、ほとんどの場合、イコールどころか大きく異なる
それは、土地の評価額が、その土地の形状や大きさに影響を受けるからである
いくら正確に土地の図面に想定整形地を書くことができても、いくら正面路線価の判定が正しくできても、その評価対象地の考え方が間違っていたら、何の意味もないのである
A土地とB土地は一緒に(1単位として)評価しなければならない、ということに気付かずに、A土地とB土地を別々に正しく評価したところで、その評価額は採用できないのである
また、1単位当たりの面積が1,000㎡以上(三大都市圏以外)の場合、一定の要件に該当すると、「地積規模の大きな宅地の評価」を適用することができ、最低でも2割引きで評価することができる
A土地とB土地が1単位として評価でき、それにより総面積が1,000㎡以上となり、地積規模の大きな宅地の評価が適用できるのに、評価単位の判定を誤り、A土地とB土地を別々に評価することで、地積規模の大きな宅地の評価を適用せずに申告すると、過大に相続税を納めることにつながってしまう
専門書に評価単位に関する事例が多数掲載されていても、土地は個別性が極めて強い財産であるため、それらがすぐに役立つ(その評価対象地の評価単位がすぐ分かる)とは限らない
財産評価基本通達などに記載されている評価単位に関する税務上の考え方(決まりごと)に沿って、個別にキチンと判断しなければならない
キチンと判断しても、税務署と見解が一致しないこともあり、同じような類型でも、こちらの裁決事例では一体で評価するのが正解とされ、あちらの裁決事例では別々に評価するのが正解とされることもある
土地の評価単位の判定は、言わば、土地評価の入口である
避けては先に進めない
早く図面上に線を引いたり、土地の間口を計ったりしたい、という作業的願望を抑えて、まずは各評価対象地の評価単位を考え、その判断経緯が間違っていないか、慎重に確認する必要がある