相続税専門税理士の富山です。
今回は、市街化調整区域の土地に対する地積規模の大きな宅地の評価の適用可否について、お話します。
地積規模の大きな宅地の評価とは?
ザックリ言うと、1,000㎡以上(三大都市圏においては500㎡以上)の面積の土地で一定の要件に該当する土地(「地積規模の大きな宅地」と言います)は、その評価する際、「規模格差補正率」というモノを適用することができ、評価額が安くなります。
上記算式のB・Cは、所在する場所(三大都市圏に所在するか否か)や面積によって異なりますが、例えば、三大都市圏以外の地域に所在する1,500㎡の土地の場合、B=0.90・C=100となりますので、
規模格差補正率=(1,500×0.90+100)/1,500×0.8=0.77(小数点以下第2位未満切捨)
となり、23%減で評価することができます。
地積規模の大きな宅地の要件とは?
地積規模の大きな宅地の評価を適用する場合の面積以外の要件として、
- 普通住宅地区または普通商業・併用住宅地区に所在する
- 市街化調整区域以外の地域に所在する
- 工業専用地域以外の地域に所在する
- 容積率が400%未満(東京都の特別区の場合には300%未満)の地域に所在する
- (倍率地域にある土地の場合には、さらに)大規模工場用地以外の地域に所在する
このうち、「②市街化調整区域以外の地域に所在する」については、「都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除く。」という通達上の規定があるため、市街化調整区域でも適用が可能な場合があります。
この「都市計画法第34条」は、市街化調整区域の開発許可基準を定めた規定です。
上記にあるとおり、第10号・第11号絡みの場合には適用可の場合があると規定されているのですが、第10号・第11号以外の許可が出る場合も、適用可の可能性がある、と書かれている書籍もあります。
そうでしょうか?
市街化調整区域での適用はそんなに簡単ではない
私見ですが、市街化調整区域の土地について、地積規模の大きな宅地の評価を適用するのは、なかなか難しいものと思われます。
地積規模の大きな宅地の評価は、従前の広大地評価の反省を踏まえて新設されたものです。
広大地の判定は、定性的な判断を求められ、大変難しい(ハッキリ言うと「曖昧」)ものでした。
その曖昧さを排除すべく、「都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる『区域』」にはOKを出しているのです。
ということは、第10号・第11号以外の規定の許可の場合には、判断に曖昧さが残るか、趣旨に合わないから通達に列挙されていない、と裏読みすべきと思われます。
想う相続税理士