相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告における土地の評価に影響を与える土地区画整理事業に係る使用制限等について、お話します。
仮換地指定による使用収益権の停止で5%評価減
財産評価基本通達(一部抜粋)
24-2 土地区画整理事業施行中の宅地の評価
土地区画整理事業(土地区画整理法(昭和29年法律第119号)第2条《定義》第1項又は第2項に規定する土地区画整理事業をいう。)の施行地区内にある宅地について同法第98条《仮換地の指定》の規定に基づき仮換地が指定されている場合におけるその宅地の価額は、11《評価の方式》から21-2《倍率方式による評価》まで及び前項の定めにより計算したその仮換地の価額に相当する価額によって評価する。
ただし、その仮換地の造成工事が施工中で、当該工事が完了するまでの期間が1年を超えると見込まれる場合の仮換地の価額に相当する価額は、その仮換地について造成工事が完了したものとして、本文の定めにより評価した価額の100分の95に相当する金額によって評価する。
(注) 仮換地が指定されている場合であっても、次の事項のいずれにも該当するときには、従前の宅地の価額により評価する。
1 土地区画整理法第99条《仮換地の指定の効果》第2項の規定により、仮換地について使用又は収益を開始する日を別に定めるとされているため、当該仮換地について使用又は収益を開始することができないこと。
2 仮換地の造成工事が行われていないこと。
仮換地の指定の効力の発生の日から造成工事の完了の日までの間に相続が発生し、造成工事の完了の日まである程度の期間を要する(1年を超える)と認められる場合、つまり、すぐにはその仮換地を使えない、という状況の場合には、造成工事が完了したものとした評価額に5%の評価減を適用して計算します。
造成工事が未着工の場合
仮換地が指定されていても、使用収益開始の日を別に定めることとされていて、その仮換地について使用収益を開始できず、かつ、仮換地の造成工事が行われていない場合には、従前の土地の価額により評価します。
造成工事が未着工で、従前の土地を利用している場合には、土地の利用について制限を受けていないので、5%の評価減は適用できません。
換地処分の公告前に相続が発生した場合の実務的な対応
換地処分の公告前に相続が発生した場合のその土地の評価額は、下記のとおりとなります。
- 清算金が交付される見込みの場合:仮換地の価額+清算金の額
- 清算金を徴収される見込みの場合:仮換地の価額△清算金の額
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