相続税専門税理士の富山です。
今回は、所得税の「取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)」について、お話します。
相続財産は誰が取得するかによって税負担が変わる?
相続財産の中に、売却することが決まっているA土地(相続税評価額1,000万円)があるとします。
亡くなった方の名義のままでは売れませんから、遺言がなければ、遺産分割協議により取得者を決め、その方が相続後にご自分の財産として売却する、ということになります。
では、誰が相続するのが一番得なのでしょうか?
相続税は、取得者毎に税額を計算するのではなく、全財産に対する相続税を計算し、それを財産の取得割合で按分します。
全財産が1億円で、相続税が770万円と計算された場合、財産の取得割合が10%(1,000万円)であれば、770万円×10%=77万円
となります。
この1,000万円に対して77万円、というのは、誰が取得しても同じです。
ですから、売却が決まっているA土地(1,000万円)は誰が相続しようが相続税の負担は変わりません。
相続税には、人的側面などを考慮した税額控除がある
ただし、相続税の計算にも、所得税の計算の住宅ローン控除のような税額控除があります。
配偶者の税額軽減や、未成年者控除、障害者控除などです。
では、これらの税額控除を適用できる方が取得した方がいいのでしょうか?
相続税の一部を経費にできる仕組みがある
A土地を相続した方が、相続後に売却した場合、儲け(所得)が出れば、所得税が課税されます。
この場合に、一定の要件に該当すると、その儲けを計算する際、A土地を相続するために払った相続税を経費にすることができます。
相続税を経費にすることにより、儲けが減れば、所得税が安くなります。
この時に、そのA土地を相続した方が、配偶者の税額軽減の適用を受けた配偶者だったりして、相続税を納めていないと、当然、経費にできる相続税もない、ということになり、所得税は安くなりません。
想う相続税理士