【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

土地の評価は結局、大体、難しい

相続税専門税理士の富山です。

今回は、土地の評価は、最初、簡単そうに見えても、結局、手間がかかって大変なことが多い、ということについて、お話します。


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まず「倍率」評価と「路線価」評価について

イ 路線価方式
路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示しています。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

ロ 倍率方式
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所又は町村役場で確認してください。)に一定の倍率を乗じて計算します。

参考 No.4602 土地家屋の評価国税庁

どっちが難しい?

上記を見ると、路線価方式の方にだけ、「その土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正」なんて書いてあるので、難しそうに見えると思います。

確かに、一般的な計算過程だけ見ると、路線価方式の方が手間がかかります。

公図などの図面を元に、「奥行きが長過ぎないか」「形がイビツじゃないか」などという評価減ポイントとその補正率などを計算していきます。

税理士に依頼せずにご自分で評価・申告をされる場合には、ここが大変なのかもしれません。

公図に線を引いて奥行距離の部分が分かったとしても、実際にそれを測るための縮尺定規(三角スケール、「サンスケ」なんて言います)を持っていないと測れないですからね。

路線価評価だけの専門書も出ています(いろんなパターンが載っています)が、キレイな土地(教科書に載る感じの癖のない土地)なんてほとんどありませんので、そういう意味では難しいですよね。

それに対して、倍率方式の方は、固定資産税評価額に倍率を掛けるだけです。

つまり、掛け算を1つして終わりです。

というように読めるかもしれませんが、そんなことはありません。

雑種地の場合や、地積規模の大きな宅地の評価を適用する場合には、そういう単純な倍率評価の計算では終わりません。

また倍率評価は、市街化調整区域の土地が多くなるのですが(市街化区域でも倍率評価の場合は当然あります)、評価証明書を見ると怪しい地目が出てきたりして、事前の役所調査で、農業振興課で農地台帳を確認してもらいつつ、その内容を元に税務課の方と話をして、ということをやっていって、段々こう評価しよう、という方向性が固まったりします。

これが、形の良い自宅の敷地を路線価評価するだけだったら、そっちの方がよっぽどラクです。

奥行価格補正率や不整形地補正率を計算すると言ったって、それはいつもやっていれば、それほど難しくないからです。

とはいえ、路線価で計算する場合でも結構大変な場合があります。

これは昨日今日の話ですが、自宅のある土地1ヶ所だけだったので、パッと公図を見て、実際の評価を後回しにしていた相続のお客様の案件がありました。

昨日、実際に土地の評価をしようとして公図を見たところ、何か違和感を感じたので(市役所の開庁時間も過ぎていたこともあり)、評価をやめました。

今日の午前中、都市計画課に電話したところ、自分の予想が的中したため、午後は市役所の市街地整備課と都市計画課に足を運び、無事にいくつかの書類を入手しました。

もう後は簡単です。

図面に線を引くだけですからね。

評価の方向性を早く決める

これは市街化調整区域の土地でも同じなのですが、評価の方向性を正しく定めることが難しいですね。

遠くの土地だと、何べんも足を運べませんから、前もっていろいろ調べて、土地の状況を想定し、役所調査も進めながら、実際に土地を見てみて、またいろいろ考えて、最終的にどうやって評価するかを決める、という感じで進めます。

また、市街化調整区域の土地に係る地積規模の大きな宅地の評価に関する役所調査にしても、その対応してくださった方に税務の考え方をきちんとご理解いただかなければ、正確なご回答をもらうことはできません。

通常、私は本のコピーにマークしたものを持って行って(口でしゃべるだけだと信用されないかもしれないと危惧しているので)ご説明します。

税務の判断に当て込む必要があるため、その判断材料をいただきたい、お教えいただきたい、という感じでお願いするのですが、その役所の実務・実態と、税務の前提(考え方)との擦り合わせが難しいな、と思う場面が最近ありました。

想う相続税理士

倍率評価を適用する土地は、市街化調整区域が多く、その市街化調整区域は、「市街化を抑制すべき区域」という原則的な考え方があるのに、でも家が建つ(家を建てることができる)なんてこともあるので、判断が難しいな、と思うことがあります。