【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

国外に居住している相続人が取得した相続財産には相続税は課税されない?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方が日本に居住している日本人(日本国籍を有している方)で、相続人が国外に居住している日本人(日本国籍を有している方)である場合の相続税の課税対象について、お話します。


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亡くなった方も相続人も日本人だけど相続人が国外に居住しているパターン

日本に居住している日本人の方がお亡くなりになり、日本人の相続人の方が相続により財産を取得したんだけど、その相続人の方が国外に居住している、というパターンは結構あると思います。

そのような場合、国内に居住している日本人の相続人の方が相続により財産を取得した場合と比較し、相続税の課税対象となる財産に違いはあるのでしょうか?

国内財産のみが相続税の課税対象?(国外財産は非課税?)

相続税法(一部抜粋)
第2条 相続税の課税財産の範囲
第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
2 第1条の3第1項第3号又は第4号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。

「第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者」「第1条の3第1項第3号又は第4号の規定に該当する者」のどちらに該当するかで、相続税の課税対象となる財産に違いが出てきます。

前者に該当すると、相続した財産については、国外財産・国内財産のどちらも相続税の課税対象となり、後者に該当すると、相続した財産のうち、国内財産のみが相続税の課税対象となります。

「国外に居住している日本人の相続人の方」はどちらに該当するのでしょうか?

亡くなった方と相続人の国籍及び住所のパターンで変わる

相続税法(一部抜粋加工)
第1条の3 相続税の納税義務者
次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。

一 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
イ 一時居住者でない個人
ロ 一時居住者である個人(当該相続又は遺贈に係る被相続人(遺贈をした者を含む。以下同じ。)が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)

二 相続又は遺贈により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
イ 日本国籍を有する個人であつて次に掲げるもの
(1) 当該相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがあるもの
(2) 当該相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがないもの(当該相続又は遺贈に係る被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)
ロ 日本国籍を有しない個人(当該相続又は遺贈に係る被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)
三 相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの(第1号に掲げる者を除く。)
四 相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(第2号に掲げる者を除く。)

上記の青字の部分(「当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの」)をご覧いただきたいのですが、亡くなった方が「日本に居住している日本人の方」であれば、「外国人被相続人」「非居住被相続人」には該当しませんので((2)の「除く」には該当しない)、相続人が日本人であれば、「イ 日本国籍を有する個人であつて次に掲げるもの」に該当することになります。

つまり、「第1条の3第1項第2号の規定に該当する者」(前者)に該当しますので、国外財産・国内財産のどちらも相続税の課税対象となります。

想う相続税理士

国外に居住していても、日本の相続税がかかりますので、ご注意を。