相続税専門税理士の富山です。
今回は、贈与税の配偶者控除における「その後引き続き居住の用に供する見込み」要件について、お話します。
贈与税の配偶者控除の適用要件
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与をした場合には、贈与税の計算において、一定の要件を満たせば、基礎控除額110万円とは別に、課税価格から最高2,000万円まで控除(配偶者控除)することができる「贈与税の配偶者控除」という特例を使うことができます(贈与税の申告をすることが要件となっています)。
同特例を規定した相続税法(一部)を見てみると、
相続税法(一部抜粋)
第21条の6 贈与税の配偶者控除
当該取得の日の属する年の翌年3月15日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合又は同日までに当該金銭をもつて居住用不動産を取得して、これをその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合
となっており、つまり、マイホームを取得して、そこに住んで、そして「その後引き続き居住の用に供する見込み」であることが要件となります。
この「その後引き続き居住の用に供する見込み」について争われた裁決があります。
贈与を受けた時点における継続居住意思の有無
出典:TAINS(F0-3-554)(一部抜粋加工)
平25-05-08裁決
上記の事例では、その居住用不動産について、
平成23年5月30日付で本件不動産の売買契約書を作成
平成23年9月9日付で売買を原因として所有権移転登記
平成23年9月9日付で同日売買を原因として所有権移転登記
平成23年9月9日に本件新居引渡し有
リフォームを行った後の平成23年9月27日に、本件新居に入居
そして、
贈与を受けた居住用不動産について、贈与を受けた時点において、既に他に売却することが予定されている場合は、売却し買主に引き渡すまでの間にその不動産に居住することが予定され、また、現に居住を続けたとしても、本件法規定にいう「その後引き続き居住の用に供する見込みである場合」には該当しないと解するのが相当
とされました。
納税者側が
配偶者が不動産会社と本件不動産の売却交渉を行っていたとしても、贈与の時において請求人に本件不動産を売却する意思はなく、さらに、請求人が本件不動産の売却を決意したのは贈与日以降であることから、本件不動産は、引き続き居住の用に供する見込みのある不動産であり、本件法規定の適用を受けることができる旨主張
したのですが、
平成21年頃から新居となる物件探しは、配偶者は請求人と揃って赴き、新居の購入を決める際も、配偶者は請求人と相談して決めたこと、配偶者が不動産会社に新居を探すのを依頼した後、不動産会社は本件不動産を直接購入する買取保証を約していたことからすると、請求人が本件不動産の持分につき贈与を受けた時点で、請求人だけが本件不動産に住み続けるつもりであってこれを売却する意思はなかったというのは、不自然であるというほかなく、その趣旨の請求人の申述及び主張は採用できない
とされました。
想う相続税理士