相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続人がいない場合の相続税申告について、お話します。
想う相続税理士
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特別縁故者や共有者が相続税の申告をする
相続人がいない方の相続財産は、
- 特別縁故者:亡くなった方の療養看護に努めた方その他亡くなった方と特別の縁故があった方
- 共有者:共有財産(例えば、亡くなった方が他の方と共有で所有していた土地)の他の共有者
想う相続税理士秘書
相続税は2割増し課税になる
相続税法(一部抜粋)
第18条 相続税額の加算
相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその100分の20に相当する金額を加算した金額とする。
相続財産を取得した方が、亡くなった方の一親等の血族及び配偶者以外の方の場合、その方の相続税は2割増しで計算されます。
特別縁故者や共有者の方は、この適用を受けることになるモノと思われます。
特別縁故者は相続財産の評価時点が変わる!
相続税法(一部抜粋加工)
第4条 遺贈により取得したものとみなす場合
民法第958条の2第1項(特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により同項に規定する相続財産の全部又は一部を与えられた場合においては、その与えられた者が、その与えられた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第3章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)に相当する金額を当該財産に係る被相続人から遺贈により取得したものとみなす。
通常、相続税は、亡くなった時点の評価額で計算されます。
しかし、特別縁故者については、「与えられた時における当該財産の時価」で計算します。
ですから、相続があった年の翌年に相続財産が分与された場合、その翌年の分与時の評価額で相続税を計算することになります。
共有者は相続財産の評価時点は変わらない
共有財産の他の共有者の方については、原則どおり「亡くなった時点の評価額」で計算します。
国税庁HP(一部抜粋加工)
民法第255条の規定により共有持分を取得した場合の相続税の課税関係
1 相続財産の評価時点
共有持分を遺贈により取得したものとされることから、遺贈と同様に相続開始の時となります。
遺産に係る基礎控除額の計算は相続放棄の有無で変わる
相続税の計算においては、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
で計算される非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」と言います)があります。
相続人がいないため、特別縁故者や共有者が相続財産を取得する場合、通常は
法定相続人の数=ゼロ
ですから、非課税枠は
3,000万円+600万円×0人=3,000万円
となります。
ただし、相続放棄により「相続人がいない」という状態になっている場合には、上記の「法定相続人の数」は、「相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする(相続税法第15条・遺産に係る基礎控除)」とされているため、その相続放棄をした方が上記の人数にカウントされます。
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