相続税専門税理士の富山です。
所得税の確定申告で、毎年、還付を受けている方もいらっしゃると思いますが、今回は、相続税の還付について、お話します。
更正の請求により相続税が戻ってくる
相続税を納め過ぎた場合、「更正の請求」をして税務署に認められれば、納め過ぎた相続税が返ってきます。
この更正の請求手続きには、期限があります。
原則として、法定申告期限から5年以内にする必要がありますが、5年を経過していても2ヶ月以内または4ヶ月以内に更正の請求をすることができる場合もあります(家庭裁判所の調停などにより遺産分割協議が調った(成立した)場合など)。
一発目の申告から相続税が返ってくる場合もある
上記の更正の請求は、最初に間違った申告をしてしまった場合や、遺産分けの話し合いがまとまらなかったことにより、高めの相続税を納めた場合など、一度相続税の申告をしていて、その後に更正の請求をして税金が返ってくる、という流れのモノになります。
それとは別に、一発目の相続税の申告で相続税が返ってくる場合もあります。
それは相続時精算課税制度を適用している場合です。
相続時精算課税制度による贈与財産は、2,500万円を超えた部分に20%の贈与税が課税されます。
そして、そこで課税が終わるのではなく、その財産が、相続税の課税の対象になります。
相続税が課税されるのですが、その際に既に払った贈与税を差し引き計算します。
つまり、贈与税は「前払い的なモノ」という扱いです。
その場合、結果的に贈与税の方が多ければ、払い過ぎということで、相続税の申告において還付を受けることができるのです。
暦年課税贈与の贈与税は還付されない
相続時精算課税贈与とは別の、贈与のもう1つの種類である暦年課税贈与の場合には、取扱いが異なります。
相続開始前3年以内の暦年課税贈与(年間110万円の非課税枠がある、皆さんおなじみの贈与)に係る贈与財産ついても、相続税が課税される場合があります。
その場合、相続時精算課税贈与と同じように相続税を計算して、そこから既に払った贈与税を控除して相続税を計算します。
しかし、暦年課税贈与の取扱いで異なるところは、払った贈与税の方が多かったとしても、その払い過ぎの部分は返ってこないのです。
想う相続税理士
贈与税が多く課税されている部分については、それで良しとされるのです。
それに対し、相続時精算課税贈与については、必ず相続税ベースで計算し、贈与税はあくまでも「仮払い」「前払い」という取扱いになるので、払い過ぎた部分については、還付を受けることができるのです。