【今回の相談】
課長
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医療費控除で還付を受けている方ならではの発想
想う相続税理士
給与所得者の方は、会社の年末調整で所得税の計算が完了しているのですが、「医療費控除」という、所得(収入△経費)からマイナスできるもの(所得控除)を確定申告で追加することにより、所得が減ります。
そして、所得が減った分だけ、所得税も減ることになり(例えば、会社計算10万円→医療費控除追加で8万円)、納め過ぎの2万円(=10万円△8万円)が還付される、という訳ですね。
先に払った税金があるかどうかがポイント
この10万円のうちの2万円が還付される、ということです。
確定申告の前に、会社が社員に代わって代理で税務署に納めた10万円があるんですね。
この10万円が、還付金の原資となっている訳です。
想う相続税理士
相続税の還付金の原資はあるの?
想う相続税理士
先に払っている相続税がないのです。
実は、これは所得税も同じで、年末調整で所得税が0円と計算された場合には、先払いの税金がないため、医療費の金額がいくら多くても、医療費控除で所得税の還付を受けることはできません。
相続税も同じです。
確かに、葬式費用は「債務控除」と言って、プラスの財産からマイナスできます。
葬式費用の金額が多ければ多いほど、プラスの財産からマイナスできる金額が多くなる訳ですが、先払いの相続税がないのですから、還付になることはありません。
相続税の申告で還付になるケースがある。それは相続時精算課税制度による贈与が絡んでいる場合
ただし、それは相続税の還付ではなく、「贈与税の還付」です。
想う相続税理士
相続時に精算し、過払い分は還付を受けられる
想う相続税理士
例えば、3,000万円の財産を贈与すると、
(3,000万円△2,500万円)×20%=100万円
この100万円、実は、相続税の前払いとしての贈与税なのです。
この3,000万円の贈与財産は、相続税の計算に組み込まれ、相続税が課税されます。
そして、他の相続財産と合わせて相続税が300万円と計算された場合、既に払った贈与税100万円を差し引いて、200万円を納付するのです。
このように、「相続時」に「精算」するのです。
3,000万円の贈与財産を相続税の計算に組み込んでも、相続税が出ない場合があります。
例えば、通常の相続財産が1,000万円で、法定相続人が2人の場合、
想う相続税理士
通常の相続財産1,000万円+相続時精算課税制度適用贈与財産3,000万円=4,000万円≦(相続税の非課税枠)3,000万円+600万円×2人=4,200万円
想う相続税理士
そうすると、100万円の贈与税は、払い過ぎ、ということになりますから、丸々還付を受けることができる、ということになるのです。