相続税専門税理士の富山です。
今回は、お墓に関する相続税の課税関係について、お話します。
想う相続税理士秘書
お墓は相続税の非課税財産
相続税法(一部抜粋)
第12条 相続税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
相続税法基本通達(一部抜粋)
12-1 「墓所、霊びょう」の意義
法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする。
何となく聞いたことがある方も多いと思いますが、お墓には相続税がかかりません。
自動車をクレジットカードで購入していたら?
亡くなった方が生前に自動車を購入していたとします。
その自動車は相続税の課税財産です。
亡くなった方が、その自動車をクレジットカードで購入し、その購入代金が銀行口座から引き落とされる前にお亡くなりになったとします。
通常、相続が発生すると、その銀行口座は凍結され、引き落としができなくなりますので、その購入代金(「未払金」=亡くなった方がお支払にならなかったモノ)は相続人の方などが代わりに支払うことになります。
500万円の財産(預金+自動車)を相続しても、200万円の未払金を負担するのであれば、実質的には500万円△200万円=300万円の財産を相続するのと同じです。
500万円に対する相続税を課税したらカワイソウです(未払金を支払ったら300万円しか残らないのですから)。
そこで、このような場合、200万円を控除した300万円に対して相続税を計算します(これを「債務控除」と言います)。
お墓をクレジットカードで購入していたら?
亡くなった方が生前にお墓を購入していたとします。
そのお墓は相続税の非課税財産です。
亡くなった方が、そのお墓をクレジットカードで購入し、その購入代金が銀行口座から引き落とされる前にお亡くなりになったとします。
この場合、その未払金(お墓の購入代金)は債務控除できません。
なぜでしょうか?
1つ目の例を計算式にすると、
預金300万円+自動車200万円△未払金200万円=課税対象300万円
となります。
この場合、自動車をタダでもらえます(相続できます)が、その購入代金を自分で払うんですから、実質的にはタダでもらったワケではありません。
後で未払金を支払って手に入れる感じになりますので、実態は自分で買うのと同じです。
ですから、預金の300万円に対する相続税だけを納めることになります。
2つ目の例を計算式にすると、
預金300万円+お墓200万円△未払金200万円=課税対象300万円
にならないのがお分かりになりますでしょうか?
そうです。
お墓は相続税の非課税財産なので、計算式に出てこないのです。
「+お墓200万円」をカットしてみます。
預金300万円△未払金200万円=課税対象100万円
これだと、実質300万円の預金を相続しているのに、100万円に対する相続税で済んでしまいます。
オカシイですよね。
「お墓」と「未払金」は上の例の自動車と同じように相殺されて計算されるべきです。
ですから、「+お墓200万円」をカットするのであれば、「△未払金200万円」もカットし、
預金300万円=課税対象300万円
となるのです。
相続税法基本通達(一部抜粋)
13-6 墓碑の買入代金
被相続人の生存中に墓碑を買い入れ、その代金が未払であるような場合には、法第13条第3項本文の規定により、当該未払代金は債務として控除しないのであるから留意する。
想う相続税理士