相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税を選択した場合の納税資金の注意点について、お話します。
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相続時精算課税贈与は相続税の納税資金に注意!
相続時精算課税を選択すると、2,500万円の特別控除額があり、贈与財産の金額がこの特別控除額を超えなければ、贈与税はかかりません(令和6年からは110万円の基礎控除額が新設されます)。
例えば、相続時精算課税により、2,000万円の財産の贈与を受けても、贈与税はかかりません。
多額の贈与を受けたのに、贈与時に税金を払う必要がないのです。
税負担なく移転できてよかった、と思ってしまいがちですが、相続時精算課税贈与は、必ず相続税の課税対象になります。
したがって、その財産をもらった人(受贈者)は、あげた人(特定贈与者)の相続時に、2,000万円の財産に対する相続税を納めなければなりません。
その特定贈与者の相続に係る相続税の実効税率が30%だったら、
2,000万円×30%=600万円
の相続税を納めなければなりません。
「財産の取得」と「相続発生(=納税)」のタイムラグが怖い
上記の贈与財産が、現金2,000万円だったとします。
受贈者がその現金を預金して費消しなければ、相続税の納税に対応できるハズです。
しかし、その現金2,000万円を使ってしまったり、上記の贈与財産がすぐに換金できないような財産(例えば自宅の敷地)だったりしたら、相続税の納税が大変です。
タイムラグがあっても怖くない場合
次のような場合には、「財産の取得」と「相続発生」にタイムラグがあっても怖くありません。
相続で納税資金に充てられる財産を取得した場合
相続で現預金や株式等を取得できれば、それらを(株式等の場合には売却して)相続税の納税資金に充てることができます。
ただし、その現預金や株式等にも相続税がかかりますので、その分の納税資金も必要です。
元々お金を持っている場合
元々の貯金や収入があって、相続で財産をもらわなくても大丈夫なくらいの資金力があれば、その自分のお金を相続税の納税資金に充てることができます。
相続税は、自分のお金で払っても大丈夫です。
財産の金額が遺産に係る基礎控除額以下の場合
「相続発生」=「納税」ではありません。
全体の財産の金額が非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」と言います)以下であれば、相続税はかかりません。
この場合、2,000万円には、贈与税もかからず、相続税もかからない、ということになります。
想う相続税理士