相続税専門税理士の富山です。
相続が発生すると、亡くなった方の預貯金が凍結されます。
それを解除して相続するためには、その金融機関で所定の手続きをする必要があります。
その手続きの際、相続税の相談も一緒にできるか、ということについて、お話します。
税務相談は税理士しかできない
税理士法(一部抜粋)
(税理士業務の制限)
第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
税理士法(一部抜粋加工)
(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税(森林環境税及び特別法人事業税を含む。以下同じ。)に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
税理士業務は、税理士しか行えません。
そして、その税理士業務の中に、税務相談があります。
つまり、税務相談は税理士しかできない、ということになります。
金融機関等でしかできない相続税対策がある
ところが、金融機関等の方に相談しないとできない相続税対策があります。
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4405 贈与税がかからない場合
贈与税がかからない財産
10 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
11 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
上記の教育資金の非課税贈与、結婚・子育て資金の非課税贈与は、金融機関等との教育資金管理契約、結婚・子育て資金管理契約に基づき行うため、これらの非課税贈与を実行する場合には、金融機関等に相談する必要があります。
相続が発生してから金融機関に相談される方もいる
上記の非課税贈与は、相続税対策ですから、相続が発生する前の話です。
相続財産の中には必ずと言っていいほど預貯金があるため、相続が発生すると、金融機関での手続きが必要となります。
その際、相続税の申告についても金融機関にご相談される方がいらっしゃいます。
この場合でも、原則として、税理士業務(税務代理・税務署類の作成・税務相談)は、金融機関では行えません。
そのため、相談があった場合には、金融機関は税理士に依頼することが多いものと思われます。
弊事務所も、相続税の申告のお客様を、金融機関の方からご紹介いただいたり、金融機関の方から相談を受けた税理士からご紹介いただいたりすることがあります。
相続に関連する資金ニーズでお世話になる方もいる
相続が発生すると、相続税を納めなければならないだけではなく、遺産分けの話し合いの中で、財産を多く相続する代わりに、他の相続人にお金(代償分割金)を支払う必要が出てきたりすることもあります。
このような資金ニーズに対応した専用のローンを用意している金融機関もあります。
相続財産で納税資金はまかなえるけど、手元に現金を残しておきたい、ということで、ローンを組まれた方もいらっしゃいます。
想う相続税理士
答えてはいけないことが分かっているので、ちゃんと答えないのです。