相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった方の所得税の確定申告に係る還付加算金の、相続税における取扱いについて、お話します。
Aさんは、自分の令和3年分の所得税の確定申告書を、生前の令和4年2月15日に税務署に提出していた。
Aさんの令和4年分(令和4年1月1日~令和4年2月20日)の確定申告(準確定申告)を、Aさんの相続人の方々が令和4年4月30日に税務署に提出した。
ご本人が令和4年2月15日に提出した令和4年分の確定申告、相続人の方々が令和4年4月30日に提出した準確定申告、どちらも還付申告であり、所得税の還付金とともに、還付加算金が相続人の口座に振り込まれた。
所得税の還付金は相続税の課税対象?
所得税の還付金は、年金や給与などから差し引かれていた(源泉)所得税や、予定納税により前払いしていた所得税が還付(返金)されるものです。
亡くなった方の確定申告に係る還付金を相続人の方などが受け取るということは、例え実質的には中身が返金だったとしても、「国からお金を受け取る権利」を行使して受け取ったモノであり、誰が払った分の返金かといえば、亡くなった方が払った分の返金なワケですから、それは亡くなった方のモノということになり、本来の相続財産に該当します。
準確定申告の還付加算金は相続税の課税対象?
相続人の方が申告した令和4年分の準確定申告の還付加算金は、亡くなった方の所得税の還付金に係るモノではありますが、相続人の方が確定申告書を提出することによって原始的に取得するものであり、亡くなった方から相続により取得するものではありませんので、相続税の課税対象にはなりません。
その代わり、受け取った相続人の方の所得税の課税対象(雑所得)となります。
生前申告分の還付加算金は相続税の課税対象?
令和3年分の確定申告の還付加算金は、Aさんが確定申告書を提出することによって取得するモノですので、原則としては、Aさんの相続財産(相続税の課税対象)となります。
しかし、それは亡くなる日までの期間に対応する分の還付加算金についての話であり、亡くなった後の期間に対応する分については、相続した後に生じる分ということになりますので、相続税の課税対象とはならず、その還付加算金を受け取った相続人の方の所得税の課税対象(雑所得)になるモノと思われます。
想う相続税理士