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相続を見越して親の土地の上で商売やるなら個人?法人?
想う相続税理士
親族の事業用土地には相続税の特例の適用がある
想う相続税理士
「一定の面積まで最大8割引で土地を計算していいよ」というものです。
この小規模宅地等の特例は、大きく分けて、居住用と事業用があります。
この「事業用」の中には、「親族が事業をしている土地」「親族が支配している同族会社が事業をしている土地」が含まれます。
限度面積は、どちらも400㎡です(居住用の330㎡よりも広くなっています)。
親族が事業をしている土地、つまり、子供が個人で事業をしている土地で、特例の適用を受けられるものを、「特定事業用宅地等」と言います。
また、親族が支配している同族会社が事業をしている土地、つまり、子供が株主や役員として支配している会社が事業をしている土地で、特例の適用を受けられるものを、「特定同族会社事業用宅地等」と言います。
この場合、その土地を取得する相続人は、その会社の役員であることが要件となっています。
また、お亡くなりになった方やその相続人などで、50%超の株式を有していることも要件です。
子供が親の土地の上で商売をする場合、この「特定事業用宅地等(個人パターン)」と「特定同族会社事業用宅地等(法人パターン)」に該当させるための注意点についてお話します。
ちなみに、「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」に該当しなくても、「不動産貸付業」として、200㎡まで5割引で計算できる場合もあります。
特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等の要件の違い
想う相続税理士
生計一か生計別か
想う相続税理士
それに対し、特定同族会社事業用宅地等は、生計別の子供でも適用できます。
だからと言って、生計別の子供の事業を法人成りさせるのは早計です。
親の土地の上に子供所有の建物がある場合、その子供が別生計だと、特定同族会社事業用宅地等には該当しないからです。
法人成りを機に、その建物を法人名義にすれば、適用の可能性が出てきますが、建物の名義を変える際の各種税金や登記などに係る諸費用の負担を覚悟しなければなりません。
ただし、土地も建物も親の所有で、それを丸ごと借りる場合には、生計別の子供でも、特定同族会社事業用宅地等に該当します。
土地についての相続税の特例の話なんですが、建物の名義も結構重要なんです。
無償か有償か
また、土地も建物も親の所有で、それを丸ごと子供がタダで借りている場合でも、特定事業用宅地等に該当します。
それに対し、親の土地の上に、同族会社の建物が建っていて、その同族会社が土地をタダて借りている場合には、特定同族会社事業用宅地等に該当しません。
同様に、土地も建物も親の所有で、それを丸ごと会社がタダで借りている場合も、特定同族会社事業用宅地等に該当しません。
親の土地の上で商売を始めようとする場合、その形態によって、相続の時の特例の適用の可否が大きく変わりますので、ご注意を。
想う相続税理士
贈与や遺言の作成はいつでもできるの?
「自分の行為の結果を判断することができる能力(意思能力)」がない状態では、「売りたい」などと考えられないので、売買などの法律行為が成立しない、ということです。
「亡くなりそうだから相続対策で贈与や遺言を」と考えた時には、もう手遅れになることもあります。
相続対策は、お早めに。
後から税務調査で、その頃には意思能力がなかった、と認められるのに、その方のお名前で署名がされて(ニセの自筆?誰が書いた?)、土地の売買契約が行われたとなれば、その土地の売買はなかったものとして、相続税を計算することになるでしょう。
夫婦間非課税特例贈与で失敗するパターンはこれ
想う相続税理士
20年以上
連れ添った
夫婦にのみ
認められる
非課税贈与
「贈与税の配偶者控除」という特例があります。
これは、婚姻期間が20年以上である配偶者から、居住用不動産か、居住用不動産の取得資金をもらった場合、2,000万円までは贈与税が非課税になる、というものです。
非課税にしてくれる理由は?
税務署は、親から子などの次の世代への財産の移転には、贈与税や相続税をキッチリかけようと考えていますが、夫と妻という、同一世代間の財産の移転については、目くじらを立てていません。
そのうち到来する、次の世代への財産の移転の時に税金が取れると考えているからです。
言葉は悪いですが、夫と妻が大体同じ年齢なら、夫に相続があれば、そのうち妻にも相続がある、その時に税金を取れる、ということです(年の差婚は考慮されていません)。
また、夫婦が一緒に住んでいる(又は住む)自宅は、片方の名義になっているとしても、両方で持っているような感覚のところがあるだろうから、夫婦間で名義を変えたり、取得資金を贈与したりした時に、キッチリ税金を取るのはちょっとカワイソウだ、とも考えています。
それに、生前に早めに生活の基盤である自宅を夫婦間で贈与することは、相続税を減らす節税というより、残された方の生活を安定させようとする側面も大いにあるだろうから、あまり税金がかからないようにしてあげよう、という考えもあるようです。
3年以内に
亡くなった
場合の
相続財産
への
足し戻しが
ない
ところが
メリット
一般的な贈与(「暦年課税」といいます)にも、非課税の枠はあります。
110万円です。
聞いたことがある金額だと思います。
AさんからBさんに110万円贈与しても、Bさんが他に贈与により取得した財産がなければ、Bさんには贈与税はかからないのです。
でも、その贈与から3年以内にAさんがお亡くなりになり、BさんがAさんの財産を相続した場合には、Bさんは相続でもらった財産に、生前3年以内にもらったその110万円を加算して、相続税を申告しなければならないことになっています。
「亡くなりそうだから財産を贈与してしまって、相続税がかからないようにしよう」というのを防ぐためです。
ところが、この「贈与税の配偶者控除」は、3年以内に相続が発生しても相続でもらった財産に加算しなくていいことになっています。
ですから、直前の贈与でもOKです。
贈与税は
非課税でも
登録免許税
や不動産
取得税は
増税になる
この特例、2,000万円まで贈与税が非課税で、相続税も非課税(相続財産に加算しなくていい)なのですが、不動産を相続「前」に動かす場合(贈与)と、「後」に動かす場合(相続)とでは、他の税金がだいぶ変わってきます。
贈与の場合には、相続ではかからない「不動産取得税」が課税されます。
また、「登録免許税」は相続の場合でも課税されるのですが、贈与の場合には、相続の5倍かかります。
2,110万円
の贈与後に
相続が
その年に
発生
したら注意
贈与税の配偶者控除の特別非課税枠は2,000万円です。
でも、暦年贈与の一般非課税枠110万円も使えます。
つまり、正確に言うと2,000万円+110万円=2,110万円が非課税枠です。
「そうそう、2,000万円じゃなくて、2,110万円まで非課税なんだよね」と思っていて、その贈与の年に相続があると、相続税の申告を失敗する確率が上がります。
「えっ、何で?相続財産への足し戻しはないんだから、相続税は関係ないでしょ」と考えたらアウトです。
この場合に足し戻しをしなくていいのは、2,000万円だけです。
110万円部分は持ち戻し除外の対象外です。
通常の贈与部分ですから。
想う相続税理士
子供が同居せず同じ敷地の別の家に住む場合の相続税への影響をパターン別に検討する
想う相続税理士
(1)その実家の親御さんのうち、お父さんがお亡くなりになり、実家の建物と、その全体の敷地をお母さんが相続した
(2)そして、今回はお母さんがお亡くなりになった
というケースで、いくつかのパターン別に、そのパターンが相続税にどう影響するかを検討してみたいと思います。
具体的に言うと、「小規模宅地等の特例」という、100坪まで80%オフ評価を適用できるかどうかの検討です。
お母さんと長男が「生計一」か「生計別」かによって、特例の適用に大きな影響を及ぼすのですが、この「生計一」と言うのは、軽くまとめると、「生活を共にしていて、生活費の財布も一緒」の場合です。
逆に、「生計別」と言うのは、「生活を共にせず、生活費の財布も別」ということです。
パターン1
長男が
自分で
2棟目を
建て
お母さんと
長男は
生計別
実家の建物の敷地
例えば、次男が借家住まいで「家なき子」に該当し、その次男が相続すれば、特例の適用はOKです。
の記事にあるように、改正で要件が変わるので、ご注意を。長男が相続した場合には、特例の適用はありません。
2棟目の敷地
ウワモノを建てて住んでいる長男が相続するのが一般的ですが、こちらは特例の適用はありません。
パターン2
長男が
自分で
2棟目を
建て
お母さんと
長男は
生計一
実家の建物の敷地
次男がずっとアパート暮らしで「家なき子」に該当し、その次男が相続すれば、特例の適用はOKです。
長男が相続した場合には、特例の適用はありません。
2棟目の敷地
こちらは、その敷地に住んでいる長男が相続し、2棟目の家を、申告期限まで売らずに住み続ければ、特例の適用はOKです。
生計一の関係でお母さんの生活を支えた、ということで適用を認めてもらえます。
そこが、パターン1と違うところです。
パターン3
2棟目の
建物は
お父さん
から
お母さんが
相続し
お母さんと
長男は
生計別
実家の建物の敷地
平成30年度税制改正により、長男が相続したら、特例の適用は受けられません。
改正前なら、長男が相続して、申告期限まで売ったりしなければ、特例の適用はOKでした。
「家なき子」に該当する次男が相続すれば、特例の適用はOKです。
2棟目の敷地
その上に住む長男が相続するのが一般的ですが、特例の適用はありません。
後継社長に株式を譲渡する手続きはどうやるの?
後継社長に株式を譲渡した場合、その譲渡があったことをきちんと証明できるよう、書類を完備しておくことが大事です。
また、法律的にそろえておかなければいけない書類もあります。
税務調査で
指摘
されない
ようにする
譲渡契約書をきちんと作成しましょう。
また、譲渡代金の移動が証明できるよう、通帳間でお金を動かしてください。
親族間の取引は、「ナアナアでやっている、形式だけ整えて実態が伴っていない」と税務署に思われやすいので、ご注意を。
他の株主に
ちゃんと
やってます
と言える
ようにする
「その株式の譲渡は無効だ」なんて言われないように、会社法上の手続きをきちんと取っておきましょう。
下記の各手続きにおける議事録や通知書などの書類を完備する必要があります。
①売る人が会社に対して売っていいですか?とお伺いを立てる:譲渡承認の請求
↓
②会社が売ることを認め、それを知らせる:株主総会(取締役会がある場合には取締役会、定款で定めた承認機関があればその承認機関)の決議で譲渡を承認+請求者に通知
↓
③正式に契約:譲渡契約書の作成
↓
④売る人と後継社長が株式の名義を会社に変えてもらうことをお願いする:共同で名義書換請求
(この時、定款の内容によっては、株券を発行する必要があるので注意!)
相続人の中に未成年者がいる場合、遺産分割はどうなる?
↓
大人が代わりに参加する
↓
親権者(その未成年者の教育、財産の管理等を行う者、親)が「法定代理人」として遺産分割の話し合いに参加
↓
その親権者が相続人の場合は、法定代理人とはなれない(その親権者が、自分に有利に、未成年者に不利に、遺産分割の話し合いを進める可能性があるから)
※夫婦が離婚していて、母親が親権者で、父親が亡くなった場合、母親は子供の法定代理人になれる(自分が相続人ではないから)。ただし、例えば子供が2人いる場合には、片方の法定代理人にはなれるが、もう片方の法定代理人にはなれない
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親権者が家庭裁判所に「特別代理人」の選任の申立てをする
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特別代理人は親族でもなれる(他人も可)
↓
申立ての際、遺産分割協議書の案を提出する
↓
その案が、未成年者に不利な内容だと、特別代理人の選任が認められないことが一般的