相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告における宅地比準方式による土地の評価方法に触れながら、「宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」の計算方法について、お話します。
「宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は宅地比準方式で出てくる
相続財産の中に市街化区域に所在する農地(畑)がある
路線価図を見ると、路線価が付されていない
倍率表の評価対象地の番地に対応するところを見ると、「畑」のところに「比準」と書いてある
これは「宅地比準方式」で計算する、という意味
市街地農地を宅地比準方式で計算する算式は、
①:その農地が「宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」
②:1㎡当たりの造成費の金額
③:面積
「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」の求め方
上記①の「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、まず農地であることは忘れて、宅地として評価する、ということを念頭に置く
路線価がないので、金額としては、固定資産税評価額ベースで計算していく
とはいえ、その評価対象地の固定資産税評価額は、「農地」としての固定資産税評価額なので、それは使えない(再掲「農地であることは忘れて、宅地として評価する」)
そこで、(国税庁のHPに掲載されている財産評価基準書の路線価ではなく)固定資産税路線価を使用する
固定資産税路線価とは、市街地などにおいて道路に付けられた金額のことであり、具体的には、その道路に接する標準的な宅地の1平方メートルあたりの金額である
固定資産税の算出に用いられるものなのだが、宅地ベースの金額なので、「宅地として評価する」のに適している
この固定資産税路線価は、そのまま使えない
「宅地として『評価』する」という場合、この「評価」は相続税「評価」のことを指しているから
本当の宅地を評価する場合、
固定資産税評価額×倍率=相続税評価額
と計算する
つまり、倍率表の「宅地」のところの倍率を掛ける
「固定資産税ベースの金額に、倍率を掛けると、相続税ベースの金額になる」ということ
だから、固定資産税路線価に、評価対象農地と同じエリアの宅地の倍率を掛ける
固定資産税路線価×宅地倍率
このように「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」を計算する
その場合には、市区町村役場の固定資産税課などに確認しましょう。
想う相続税理士秘書
時点修正率を加味する
固定資産税路線価は3年毎に市区町村が決める
逆に言うと、3年間は同じ金額のまま
しかし、その3年間の間に地価が下落した場合、地価が下落したのに下落していない金額ベースの固定資産税を不動産の所有者に負担させることになるため、市区町村は「時点修正」という修正を加える(ザックリ言うと固定資産税路線価を「下げる」)ことができる
「固定資産税路線価」と言う場合、通常、その3年間同じ金額のことを指す
したがって、時点修正があった場合には、その時点修正を加味できる
固定資産税路線価が20,000円、時点修正率が0.985、評価対象農地と同じエリアの宅地の倍率が1.1の場合、
20,000円×0.985×1.1=21,670円
が「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」となる
想う相続税理士