相続税専門税理士の富山です。
今回は、「誰が相続人かが分からないと相続は前に進まない」ということについて、お話します。
遺産分けが決まらないと相続財産は共有状態
遺産分けは早い者勝ちではありません。
亡くなった方の財産(相続財産)を他の人よりも先に自分の家に持ち帰ったら、それは自分のモノになる、というワケではありません。
相続が発生すると、相続財産は、相続人全員の共有状態になります。
ですから、例えば亡くなった方がアパートを所有していた場合、遺産分けがずっと決まらないと、アパートもずっと共有になるので、相続人全員が確定申告をしなければならない、ということになります。
遺産分割協議は相続人全員がOKしないとダメ
この共有状態を解消するためには、「遺産分けの話し合い(遺産分割協議)」をする必要があります。
遺産分割協議により、財産Aは長男が相続する、財産Bは二男が相続する、とか決めるのです。
そして、その結果を元に遺産分割協議書という正式な書類を作成して、預貯金の解約や不動産の名義変更等に使用します。
この遺産分割協議は相続人全員の合意がないと成立しません。
誰か一人でも反対したら、共有状態のままです。
ということは、「誰が相続人か」をきちんと把握していないと、どんなことが起こると思いますか?
妻・長男・二男の3人が、自分たちが「相続人全員」だと思って遺産分割協議をしても、実は他に相続人Xがいた、ということになると、その遺産分割協議は無効です。
その相続人Xが反対したら、遺産分割協議は成立しません。
相続人Xがよく知っている人だったらまだいいのですが、会ったことのない人だったら、その人がどこにいるのか探し出し、連絡を取らなければなりません。
それができなければ、遺産分割協議のスタート地点に立つことすらできません。
「誰が相続人か」はどうやったら分かる?
「誰が相続人か」は、どうやって調べるのでしょうか?
探偵事務所、興信所でしょうか?
いえ、市区町村役場です。
市区町村役場の市民課などで、「亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本」を取得します。
それを見て、親は誰か、兄弟は誰か、誰と結婚したか、子供はいるか、などを確認します。
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戸籍(本籍)を移動(変更)している場合(転籍している場合)には、複数の市区町村役場で戸籍謄本を取得する必要があります。
また、「亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本」を元に、「相続人と思われる方の戸籍謄本」も取得する必要があります。
相続人と思われる方が先に亡くなっていると、その方は相続人ではないということになりますし、その方にお子さんがいれば、そのお子さんが亡くなっている方の代わりに相続人になったりします。
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