相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に雑種地があった場合の評価方法について、お話します。
市街化区域内に所在する雑種地の評価
都市計画法(一部抜粋)
第七条
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
市街化区域内であれば、通常は、宅地ではなくても、宅地とほぼ同水準の価格と考えられる
このような場合には、宅地比準方式で計算する
宅地ベースの金額から造成費相当額を控除して計算する
(その雑種地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額△1㎡当たりの造成費の金額)×面積
で評価する
路線価地域に所在する場合
雑種地が路線価地域にある場合には、「その雑種地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額」は、路線価を使用する
路線価方式により評価し、その評価の過程で、造成費も控除するし、その土地の形状等に応じて、奥行価格補正率や不整形地補正率等も適用する
倍率地域に所在する場合
倍率地域に所在する土地は、通常、固定資産税評価額×倍率で計算する
しかし、雑種地の固定資産税評価額に掛ける倍率は、通常定められていない(倍率が定められるのは、「宅地」「田」「畑」「山林」「原野」「牧場」「池沼」)
掛ける倍率がないので、雑種地に付された固定資産税評価額は使えない
したがって、やはり宅地比準方式で計算する
「その雑種地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額」は、近傍宅地の1㎡当たりの固定資産評価額を使用する
その評価の過程で、造成費も控除するし、その土地の形状等に応じて、奥行価格補正率や不整形地補正率等も適用する
市街化調整区域内に所在する雑種地の評価
都市計画法
第七条
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
市街化区域と違い、市街化調整区域にある雑種地は、宅地と同水準の価格を形成しているとは限らない
畑に近いかもしれないし、山林に近いかもしれない
その周囲の状況に応じて、宅地ベース・田ベース・畑ベース・山林ベース等で評価する(宅地比準・農地比準・山林比準・原野比準等)
市街化調整区域内に所在する土地については、倍率方式で評価する(路線価方式では評価しない)
田ベースで計算するのであれば、
近傍田の1㎡当たりの固定資産評価額×倍率×面積
で評価する
山林等も同様
宅地(宅地比準)の場合には、もうちょっと複雑になる
近傍宅地の1㎡当たりの固定資産評価額×倍率×奥行価格補正率等×しんしゃく割合×面積
で計算する
「しんしゃく割合」とは、市街化の影響度を考慮した「減価率」
市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」であるため、建築制限等の法的規制が厳しい
しかし、一律に厳しいワケではないので、その程度に合わせて減価する(しんしゃく割合を適用する)
想う相続税理士