相続税専門税理士の富山です。
今回は、国際結婚の夫婦の一方が亡くなった場合の相続税申告について、お話します。
法定相続人の数が多ければ相続税が安くなる
相続税法(一部抜粋加工)
第15条 遺産に係る基礎控除
相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第19条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第18条まで及び第19条の2において同じ。)の合計額から、3,000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第5編第2章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
上記の「相続人の数」が増えれば、「遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)」が増えるため、相続税が安くなる、ということになります。
それでは、A国人の男性aさんと日本人の女性bさんとの関係が、女性bさん側の日本の国籍に男性aさんとの婚姻届出の記載はあるものの、男性aさん側のA国の戸籍には婚姻届出の記載がない、という状況である場合において、男性aさんが亡くなったとしたら、女性bさんが男性aさんの財産を相続で取得する際、日本の相続税の申告において、女性bさんは男性aさんの法定相続人として認められるのでしょうか?
納税義務者(相続で財産を取得する方)側で婚姻の有効性を考える
法の適用に関する通則法(一部抜粋)
(婚姻の成立及び方式)
第二十四条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
「『日本』人の女性bさん」が「『A国』人の男性aさん」の(日本の法律における)法定相続人に該当するかどうかは、『日本』の法律で判断します。
つまり、上記の状況の場合には、女性bさんは男性aさんの法定相続人となります。
国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋)
外国人である被相続人の日本人妻と相続税法第15条第2項に規定する法定相続人
【照会要旨】
被相続人(A国人)とその妻(日本人)との婚姻関係は、妻(日本人)の戸籍には、被相続人との婚姻届出の記載がありますが、被相続人(A国人)の本国における戸籍には、婚姻届出の記載がありません。
この場合、妻は相続税法第15条第2項に規定する法定相続人に該当しますか。
【回答要旨】
日本人である妻の戸籍に日本法に基づいてA国籍の被相続人との婚姻の届出の記載がされていますから、その婚姻は有効に成立しており(法の適用に関する通則法24①)、照会の場合の被相続人の妻は、相続税法第15条第2項に規定する法定相続人に該当します。
想う相続税理士
法の適用に関する通則法(一部抜粋)
(相続)
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。