【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

死亡保険金を受け取った場合には必ずその全額が相続税の課税対象になる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、死亡保険金を受け取った場合の申告方法について、お話します。


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死亡保険金は必ず相続税の課税対象になる?

通常、死亡保険金は、相続税の課税対象になります。

しかし、同じ死亡保険金でも、相続税の課税対象にならない場合があります。

パターン 保険料負担者 被保険者 保険金受取人
長男

夫が死亡した場合、②は所得税、③は贈与税の課税対象となります。

相続税の課税対象になるのは、①のパターンのみです。

死亡保険金は遺産分割協議の対象外

上記①のパターンは、相続税の課税対象となりますが、死亡保険金は通常、受取人が指定されています。

つまり、もらう人が決まっているのです。

遺産分割協議により、他の相続人の方と話し合いをして分けっこするモノではありません。

遺産分割協議の対象外だから相続放棄しても受け取れる

遺産分割協議の対象(本来の相続財産)ではないため、相続放棄をしても受け取ることができます。

相続人の方が受け取ると非課税枠適用の特典がある

相続人の方が受け取った死亡保険金については、
500万円×法定相続人の数
で計算される死亡保険金の非課税限度額(非課税枠)を適用することができます。

相続放棄をすると非課税枠は使えない

民法(一部抜粋)
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

相続放棄をすると、もともと相続人ではなかった、ということになるため、非課税枠は適用できません。

相続放棄をした相続人の方がいても非課税枠の金額自体は変わらない

上記の非課税枠の計算式における「法定相続人の数」は、「相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数」という意味であるため、相続放棄により非課税枠が減少したりはしません。

複数の方が死亡保険金を受け取った場合には、非課税枠は金額按分

非課税枠を適用できる死亡保険金の金額が非課税枠を超え、複数の相続人の方が死亡保険金を受けった場合には、全体の非課税枠を、受け取った死亡保険金の金額の比で機械的に按分して適用します。

「機械的に按分」しなければなりません。

非課税枠を特定の人の死亡保険金に優先して適用する、ということはできません。

一緒に受け取るお金がある場合は注意

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-8 保険金とともに支払を受ける剰余金等
法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には、保険契約に基づき分配を受ける剰余金、割戻しを受ける割戻金及び払戻しを受ける前納保険料の額で、当該保険契約に基づき保険金とともに当該保険契約に係る保険金受取人が取得するものを含むものとする。

死亡保険金と一緒に受け取った剰余金や前納保険料等も、死亡保険金として取扱います。

遅延利息は、受け取った方の所得税の課税対象(雑所得)となります(死亡保険金として取扱いません)。

想う相続税理士秘書

差し引かれている金額がある場合は注意

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-9 契約者貸付金等がある場合の保険金
保険契約に基づき保険金が支払われる場合において、当該保険契約の契約者に対する貸付金若しくは保険料の振替貸付けに係る貸付金又は未払込保険料の額(いずれもその元利合計金額とし、これらの合計金額を「契約者貸付金等の額」という。)があるため、当該保険金の額から当該契約者貸付金等の額が控除されるときの法第3条第1項第1号の規定の適用については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。

(1) 被相続人が保険契約者である場合
保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する保険金及び当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する債務はいずれもなかったものとする。

(2) 被相続人以外の者が保険契約者である場合
保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する部分については、保険契約者が当該相当する部分の保険金を取得したものとする。

契約者貸付金等がある場合には、それらを控除した純額を死亡保険金として取扱うパターンや、「保険金受取人」「保険契約者(保険会社からお金を借りていた方)」が死亡保険金の受取人とされるパターンがあります。

想う相続税理士

単純に入金額を申告すればいい、というワケではありませんので、ご注意を。