相続税専門税理士の富山です。
今回は、通称ゴッパチの改正について、お話します。
税務署から封筒が届いてビックリ!
相続が発生し、落ち着いてからしばらくすると、税務署から「相続についてのお尋ね」という書類が届くことがあります。
「相続税の申告が必要かどうか、きちんと確認してくださいね」という注意喚起の意味合いがあります。
相続税は、固定資産税のように、役所が税金を計算して納付書を送ってきてくれたりはしません。
相続税の申告が必要であれば、待ちの姿勢ではなく、自発的に動く必要があります。
死亡届を提出した翌月に税務署は相続を把握する
「でも、なぜ税務署は相続があったことを知っているんだろう?」と思われるかもしれません。
それは、下記の規定があったからです。
想う相続税理士秘書
相続税法(一部抜粋加工)
最終改正日:令和04年03月31日
(法律第4号)
第58条 市町村長等の通知
市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を、当該届書を受理した日の属する月の翌月末日までにその事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。
2 前項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号(法定受託事務)に規定する第1号法定受託事務とする。
「市区町村長(市区町村)→税務署長(税務署)」という相続発生に関する情報提供ルートがあったのです。
ゴッパチが改正され新しい情報提供体制へ
このゴッパチは次のように改正されました。
相続税法(一部抜粋加工)
最終改正日:令和05年03月31日
(法律第3号)
第58条 法務大臣等の通知
法務大臣は、死亡又は失踪(以下この項及び次項において「死亡等」という。)に関する届書に係る戸籍法(昭和22年法律第224号)第120条の4第1項(届書等情報の提供)に規定する届書等情報(これに類するものとして財務省令で定めるものを含む。)の提供を受けたときは、当該届書等情報に記録されている情報及び当該死亡等をした者の戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報で財務省令で定めるものを、当該届書等情報の提供を受けた日の属する月の翌月末日までに国税庁長官に通知しなければならない。
2 市町村長は、当該市町村長その他戸籍又は住民基本台帳に関する事務をつかさどる者が当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に係る死亡等に関する届書を受理したとき又は当該届書に係る事項の通知を受けたときは、当該死亡等をした者が有していた土地又は家屋に係る固定資産課税台帳の登録事項その他の事項で財務省令で定めるものを、当該届書を受理した日又は当該通知を受けた日の属する月の翌月末日までに当該市町村の事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。
3 前項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号(法定受託事務)に規定する第1号法定受託事務とする。
「法務大臣(法務省)→国税庁長官(国税庁)」という新しい情報提供ルートができました。
想う相続税理士
相続税法施行規則(一部抜粋加工)
最終改正日:令和06年02月29日
(財務省令第6号)
第29条の2 届書等情報に類するものの範囲等
法第58条第1項に規定する届書等情報に類するものとして財務省令で定めるものは、死亡又は失踪(以下この条において「死亡等」という。)に関する戸籍法施行規則(昭和22年司法省令第94号)第76条第3項(受付帳)に規定する受付帳情報とする。
2 法第58条第1項に規定する財務省令で定める情報は、同項に規定する届書等情報に記録されている情報及び死亡等をした者が当該死亡等により除籍された戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報であつて、当該死亡等をした者及び当該死亡等をした者に係る相続人を特定するために必要なものとする。
3 法第58条第2項に規定する財務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 法第58条第2項の死亡等をした者の氏名、生年月日、その死亡等の時における住所及びその死亡等の年月日
二 次に掲げる法第58条第2項の財産の区分に応じ、それぞれ次に定める事項(同項の死亡等の直前において同項の固定資産課税台帳に登録されていたものに限る。)
イ 土地 所在、地番、地目、地積及び価格
ロ 家屋 所在、家屋番号、種類、構造、床面積及び価格
三 その他参考となるべき事項