【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

他の相続人等に係る贈与税の申告内容の開示請求手続方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、他の相続人等の贈与税の申告内容を税務署に教えてもらう方法について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


他の人がもらった財産が自分の相続税に影響する

過去の贈与が相続税の申告に影響する場合・しない場合

上記の記事では、相続税の計算対象の中に一定の贈与財産が含まれることがあり、正しい相続税の計算・申告をするためには、自分の贈与財産だけでなく、他人の贈与財産についても把握する必要がある、ということをお話しました。

相続税の申告は、(基本的に)財産を取得した方が全員一緒に申告するため、その申告書の作成の際、生前の贈与について確認し合えばいいのですが、他の相続人等にちゃんと教えてもらえない可能性がある(贈与を隠そうとしているように見える・昔の贈与についてちゃんと覚えていないように見える)というケースもあるでしょう。

このような場合には、代わりに税務署に教えてもらうことができます。

他の相続人等に係る贈与税の申告内容の開示請求の流れ

「相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求書」というモノがあります。

これを、相続が発生した年の3月16日以後に税務署に提出します。

そうすると、その請求後2ヶ月以内に他の相続人等の贈与税の申告内容を開示してもらえます。

贈与税の申告内容の開示請求手続にも限界がある

この開示請求手続きをすれば、完璧な相続税申告書が作れるかというと、そんなことはありません。

非課税贈与は把握できない可能性大

他の相続人等が、基礎控除額110万円以下で暦年課税により贈与を受けていた場合、110万円以下であれば贈与税もかからず申告不要ですから、ほとんどの場合、贈与税の申告をしていないでしょう。

そうすると(贈与税の申告をしていないと)、申告内容の開示請求をしても、その非課税贈与は把握できません(非課税贈与でも申告書を提出することは可能なので、その場合には把握できます)。

無申告は把握できない

贈与があって、贈与税の申告をすべきなのにしていなかった(つまり無申告)という場合には、その無申告贈与は把握できません。

相続時精算課税による贈与は間違っていてもスルーされている可能性大

相続時精算課税による贈与財産は、令和6年分以後の贈与に創設された基礎控除額部分を除き、相続税の課税価格に加算されます。

この「加算される金額」は、「贈与税の期限内申告書に記載された金額」ではなく、「贈与税の課税価格計算の基礎に算入される贈与時の金額」です。

どういうことかというと、財産の評価について間違った金額で贈与税の申告をしたとしても、正しい金額で相続税の課税価格に加算しなければならないのです。

税務署は、その間違いに気付いても、一定期間を過ぎると(ザックリ言うと贈与税が「時効」になると)、その間違いを正すこと(「更正」と言います)ができません。

しかし、相続が発生し、相続税の課税価格に加算されることになれば、今度は相続税の時効の話になるので、間違いを指摘・是正することができます。

想う相続税理士

この点(相続の発生まで課税が完結しない、時効が成立しない点)は、相続時精算課税のリスクとして認識しておく必要があります。