相続税専門税理士の富山です。
今回は、贈与税の申告と納付について、お話します。
まず贈与があったことを忘れないことが重要
あなたが、今日令和6年8月1日に、親御さんから1,000万円の現金をもらったとします。
金額が大きいので、「贈与税の申告と納付をしなければならない」ということは分かっています。
では、今日、贈与税の申告と納付をすることができるのでしょうか?
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4429 贈与税の申告と納税
概要
贈与税の申告と納税の期限
贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。
もらった日に贈与税の申告をすることはできません。
上記にあるとおり、翌年の2月以降(令和7年2月以降)になって初めて贈与税の申告と納付をすることができます。
これ、年末に贈与を受けたのであれば、2月まで贈与税の申告と納付のことを覚えているのは簡単かもしれませんが、時間が経ってしまうと、贈与税の申告と納付を忘れてしまう可能性があります。
つまり、贈与をしたら、翌年の2月まで、贈与があったことを覚えていなければならない、ということです。
贈与の主体と贈与税の納税義務者が違うので忘れやすい
「贈与」の当事者は「あげる人(贈与者)」と「もらう人(受贈者)」です。
受贈者が「財産をちょうだい」と言い出す場合もあるかもしれませんが、通常は贈与者が主体となって(贈与者の方から)「あげるよ」と言い出すことで、贈与に至ることが多いのではないでしょうか?
贈与税の申告は、受贈者がします。
贈与をする際に主体となった贈与者であれば、贈与税の申告と納付をのことを忘れないかもしれませんが、受贈者は「財産をもらえてウレシイ」でホッとしてしまい、贈与税の申告と納付のことを忘れてしまう可能性があります。
特例の適用が受けられる場合には特に注意
贈与税には、住宅取得等資金の非課税贈与や、相続時精算課税による贈与など、ちょっと特殊な贈与があります。
受贈者が、贈与者の方から、「省エネ等住宅だったらこの金額は丸々非課税になるから」とか、「年齢要件を満たしているから、相続時精算課税を適用すれば今年は税金がかからないよ」なんて言われた場合、「ああそうか、税金がかからないのか」で放っておいてしまうとアウトです。
これらの適用を受けるためには、期限内の申告や、届出書の提出が要件となっているからです。
贈与者が「丸々非課税」とか「税金がかからない」と言っているのは、そのような適用要件を満たすための手続きをちゃんとした前提での言葉であり、それを忘れたらアウトです。
想う相続税理士