【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税対策としての上場株式贈与の注意点

ホームズ!上場株式を贈与しようとしても、その贈与ができない場合があるのかい?
ワトスン君、いくら贈与契約書をきちんと作ったりしようが、法律的に動かせない場合があるのさ。

相続税専門税理士の富山です。

今回は、上場株式の生前贈与について、お話します。


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上場株式の贈与は終値で評価?

上場株式は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期(贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の最終価格によって評価します。

ただし、課税時期の最終価格が、次の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。

  1. 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
  2. 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
  3. 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

時価より安い評価額での贈与が可能

上記にあるように、上場株式を贈与した場合の評価額は、「終値を含めた4つの金額のうち一番安い金額」を選ぶことができます。

ある上場株式の銘柄が、1月にかなり値下がりした場合、「値下がりしているうちに贈与したい」と思う反面、「もっと値下がりするかも。今、贈与したら後で後悔するかも」という思いも浮かんでくるかもしれません。

値下がりにより1月の平均株価が下がっていれば、1月中に贈与をすれば、その1月の平均株価を採用することができます(上記の①に該当)。

この1月の平均株価は、2月中に贈与した場合にも採用することができます(上記の②に該当)。

さらに、3月中に贈与した場合にも採用することができるのです(上記③に該当)。

3月に入って、1月の平均株価よりも3月の平均株価がさらに下がる場合には、3月中に贈与すれば、1月の平均株価を採用することはやめて、3月の平均株価を採用するよう切り替えることも当然できます。

この場合、上記と同様、4月や5月に贈与しても、その3月の平均株価を採用することができます。

特定口座間の贈与には制限がある

上場株式は、特定口座と一般口座のどちらかで取引することになります。

大部分の方が特定口座を利用されていると思いますが、特定口座間で株式を移動する場合には、受贈者(株式をもらう方)の口座に同一銘柄の株式がある場合には贈与ができないなどの制限がありますので、注意が必要です。

事前に、考えている贈与パターンが可能かどうか、証券会社に確認することをおススメします。

想う相続税理士

特定口座間で思ったような贈与ができないからといって、一般口座を選択すると、株式を売却して儲けが出た場合には、確定申告が必要となり、さらに、その儲けの金額を自分で計算しなければならなくなりますので、ご注意を(特定口座の源泉徴収有なら確定申告不要)。