「伯母さんから相続時精算課税制度で財産の贈与を受けられるの?」というご相談を受けたことがあります。
A様のお父様が既にお亡くなりになっているんですが、そのお父様のお姉様(A様から見れば伯母様)から、財産の贈与を受けたい、それも、相続時精算課税制度を使って、贈与税の課税を受けずに、という内容です。
「ん?『伯母さん』からの贈与じゃ、相続時精算課税制度の要件を満たさないんじゃないの?財産をあげる人は、60歳以上の「父母」又は「祖父母」に限定されているから。」とお思いになりますよね。
そうです。
『伯母さん』は「父母」でもなく、「祖父母」でもありません。
普通は「適用できない」って考えると思います。
でも、その方が読んだ専門書には、こんな風に書かれているんです。
相続時精算課税制度の受贈者(財産をもらう人)の要件…「あげた人の推定相続人及びひ孫のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者」
推定相続人…その贈与をした日現在において、その贈与をした者の最先順位の相続権(代襲相続権を含みます)を有する者をいう
今回の事例の場合、伯母様には旦那さん及びお子様がいらっしゃいません。
もし、伯母様に万が一のことがあったら、相続人の第一順位であるお子様がいないので、第二順位である父母や祖父母(直系尊属)が相続人になれるのですが、これらの方も既に死亡されています。
そうなると、相続人は第三順位の兄弟姉妹になります。
今回の事例で言えば、A様のお父様は、この第三順位の「弟」になります。
その上で、このA様のお父様がお亡くなりになっているので、A様が代わりの相続人(代襲相続人)となります。
上記の引用部分を読むと、何だか要件を満たしているような感じがしませんか?
結論を言うと、できません。
相続税法第21条の9(相続時精算課税の選択)の出だしはこうなっています。
贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において20歳以上であるものに限る)
なぜ専門書には、このカッコ書きがなかったんでしょうね!
想う相続税理士