【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

告別式を住所地と出身地の2ヶ所で行った場合の葬式費用に係る債務控除

相続税専門税理士の富山です。

今回は、告別式を2回に分けて行った場合の相続税申告における葬式費用の取扱いに係る文書回答事例について、お話します。

国税庁HP(一部抜粋)
文書回答事例
告別式を2回に分けて行った場合の相続税の葬式費用の取扱いについて


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


債務や葬式費用はプラスの財産から控除できる

相続税は、亡くなった方の借入金等の債務や葬式費用を遺産総額から控除して計算します(「債務控除」と言います)。

1億円の預金を相続しても、4,000万円の借入金を引き継いだのであれば、1億円の預金のうち4,000万円は借入金の返済でなくなってしまうので、差し引いた6,000万円に対して相続税を課税する、ということです。

葬式費用は、借入金のような「亡くなった方の債務」という性質は有していませんが、相続の発生に伴い必然的に生じる費用であることから、債務と同様に、遺産総額から控除できる、ということになっています。

住所地と出身地の2ヶ所で告別式を行った場合

1 事前照会の趣旨
平成22年3月に死亡した被相続人甲の告別式は、甲の死亡時の住所地であるA市と甲の出身地であるB市の2か所で行いました。
A市での告別式は甲の職場や近所の方、B市での告別式はB市に在住する甲の親族、幼なじみや甲が生前お世話になった方にそれぞれ参列していただきました。
A市及びB市での告別式は、いずれも仏式により行いましたが、甲の遺体はA市での告別式の後、火葬されたため、B市での告別式では、遺骨を祭りました。また、納骨はB市での告別式の約1月後に行いました。
この場合、A市及びB市での告別式に要した費用のいずれも相続税法第13条第1項第2号に規定する葬式費用に該当すると解して差し支えないでしょうか。

A市の告別式に要した費用は200万円、B市の告別式に要した費用は30万円でした(どちらも香典返戻費用は含まず)。

相続税の申告において、合計230万円を債務控除できるのでしょうか?

死者を葬るための儀式か、死者の追善供養のための法会か

B市での告別式は、上記2の(2)ロのとおり、A市のみで告別式を行うとB市の知人等が告別式に参列することが困難となることから、参列者の便宜等を考慮し、遺族の意思によりA市での告別式の後、別途執り行ったものですが、納骨前に行ったものであり、その内容も遺影及び遺骨を祭り、僧侶による読経とともに、参列者が焼香等を行う仏式により行われたものでA市での告別式と同様であることから、死者の追善供養のため営まれる法会(法事)ではなく、死者を葬るために行われた儀式であると考えられます。

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-5 葬式費用でないもの
次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないものとする。
(3) 法会に要する費用

相続税法基本通達では、「法会に要する費用」は葬式費用に該当しない、としています。

この「法会」とは、初七日、四十九日、1周忌などの「法事」のことです。

「死者を葬る」儀式である葬式と異なり、「死者の追善供養」のために営まれるモノです。

A市の告別式は、亡くなった直後に執り行われたモノであり、「死者を葬る」儀式である葬式に該当しますが、B市の告別式が、「死者を葬る」儀式ではなく、「死者の追善供養」のために営まれるモノに執り該当すると、債務控除はできない、ということになります。

通常、告別式を2回やることは多くないと思いますが、B市の告別式は、「参列者の便宜等を考慮」して別途執り行われたというきちんとした理由があり、また、形式もA市の告別式と同様であるため、債務控除の対象たる葬式費用に該当する、とされました。

想う相続税理士

仮葬式を執り行った場合には、その費用も含まれます。

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
13-4 葬式費用
法第13条第1項の規定により葬式費用として控除する金額は、次に掲げる金額の範囲内のものとする。
(1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用