相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告における葬式費用についてお話しします。
債務控除により相続税が安くなる!
相続税の計算には、「債務控除」という仕組みがあります。
相続によって取得した財産に、そのまま相続税を課税するのではなく、その財産の評価額から、債務や葬式費用を控除した金額に対して相続税を課税する、という仕組みです。
これはどういうことかというと、相続税は、「相続によって財産もらってますよね、たくさんもらっているのあれば、その分だけ税金(相続税)を納める力(担税力)もありますよね、相続税もたくさん払えますよね」という考えにより、相続財産が増えれば増えるほど、相続税も増えるようになっている訳です。
でも、相続によって亡くなった方から引き継ぐのは、土地建物や預貯金のようなプラスの財産だけではなく、借入金や未払いになっている税金とか、そういったものもありますよね。
つまり、財産をたくさん相続したとしても、例えば多額の借入金を引き継ぐ(負担することになる)場合、「その借入金を将来払わなければいけないということは、その分だけお金がなくなるので、相続税を納める力が少なくなる訳だから、その分は相続税を安くしてあげないとかわいそうだ」ということで、相続に伴って借入金とか未払金(これはクレジットカードの未払分なんかも含まれます)を引き継ぐことになるのであれば、それも加味して相続税を計算していいですよ、ということになっているんです。
お葬式にはお金がかかる
葬式費用も、同じ扱いなんです。
葬式費用は、亡くなった方から引き継ぐものではありません。
ですから、債務という訳ではありません。
しかし、亡くなった方に係るの葬式費用は、相続人にその負担が必ずかかってくるものです。
つまり、こちらも借入金などと同じように、財産を多く相続していたとしても、葬式費用を負担する場合には、その分お金が少なくなる訳ですから、税金を払う力が少なくなる、ということで、相続税を安く計算することができる、ということになっています。
寺院などの領収書はないのが普通
葬式費用の中では、寺院などへの支払と葬儀会社への支払が、金額的には大きくなります。
寺院などへの支払は、告別式までの費用のみが債務控除の対象です。
ですから、初七日とか四十九日の費用(法会に要する費用)を含めてはいけません(告別式と同時に行う場合には、別途取扱い有)。
寺院などが領収書を発行してくれる場合もあるのですが、発行してくれないことの方が多いです。
その場合、いくら払ったかのメモをきちんと残しておくようにしましょう。
四十九日の費用は債務控除の対象にならないのですが、ならなくても、四十九日までにかかった費用について、メモなどで整理しておき、寺院等への支払について、初七日以降の費用と一緒くたにして債務控除していない、ということを説明できるようにしておいた方がベターです。
葬儀会社の請求書の明細をチェック!
また、葬儀会社に対する支払の中の、香典返戻費用は、債務控除の対象とはなりません。
相続人が香典を受け取れば、原則的には贈与税の課税対象になるのですが、それを課税対象としないしないことになっています。
それに合わせて、そのもらった香典に対してかかる(お返しとして負担する)費用については、債務控除の対象から除くことになっています。
つまり、香典をもらって、そこから返す訳だから、別に負担になってないよね、という考え方です。
想う相続税理士