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遺産分割協議成立後に遺言書が見つかった場合の対応方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続人間で遺産分割協議が成立した後に、亡くなった方の遺言が見つかった場合の対応について、お話します。


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遺産分割協議よりも遺言が優先される

亡くなった方が生前、自分は遺言を作成してある、と相続人の方などに教えてくれる場合もあれば、教えてくれない場合もあるでしょう。

相続人の方は、亡くなった方の身の回りを確認したりして、遺言がないと判断すれば、「遺産分割協議=相続人間で遺産分けを決めること」をすることになります。

遺言がなければ遺産分割協議をするしかありませんから、それでいいのですが、もし、遺産分割協議が成立した後に、亡くなった方の遺言が見つかったらどうなるのでしょうか?

遺産分割協議の結果は、相続人の方が全員OKをした内容の遺産分けなのですから、遺言は無視していいのでしょうか?

そんなことはありません。

その遺言が有効であれば、原則として、遺産分割協議は無効になります。

遺産分割協議の内容に従って相続税の申告をしてしまっていたら?

遺産分割協議が成立し、その内容に従って相続税の申告も既に終わっている場合、遺言の内容に従って相続税の申告もやり直すのでしょうか?

相続税の申告なんて、何度もやり直せるのでしょうか?

相続税法(一部抜粋)
第32条 更正の請求の特則
相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から4月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求をすることができる。
四 遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があつたこと。

「更正の請求」とは、ザックリ言うと、一定の事由に該当する場合に納め過ぎた相続税を還付してもらう手続きなのですが、上記にあるとおり、遺言書が見つかった場合もその事由に該当します。

遺産分割協議により1億円の現金をもらった相続人の方が、遺言により3,000万円しかもらえなくなった場合には、差額の7,000万円を他の相続人の方に渡すことになりますが、あわせて、相続税を払い過ぎていることになるため、更正の請求をすることにより、相続税の還付を請求することができます。

遺贈の放棄とは?

上記の相続税法の「遺言書が発見」の後に「遺贈の放棄」とあります。

これは何かというと、「遺言によって財産をもらえる人が、そのもらう権利を放棄する」ことです。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

遺贈の放棄をすれば、その遺贈は無かったことになります。

遺言は遺産分割協議より優先されますが、その遺贈が放棄されれば、遺言がないと判断して行った遺産分割協議が有効になります。

「遺贈の放棄」「相続の放棄」ではありませんので、ご注意を。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

遺言の内容と異なる遺産分割協議により遺産分けを行う場合には、必ず遺言執行者の同意を得ましょう。