【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

外国人の相続について遺産分けの話し合いがまとまらなかった場合の相続税申告

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告期限までに遺産分けの話し合いがまとまらなかった場合で、その亡くなった方が外国人の方のパターンについて、お話します。


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相続税の申告期限までに遺産分けの話し合いがまとまらなかった場合

相続税の申告期限は、死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月目の日です。

相続人間で遺産分けの話し合いがまとまらなくても、10ヶ月以内に申告と納付をする必要があります(税務署は待ってくれません)。

このような場合には、民法に規定する相続分等の割合に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納付をすることになります。

つまり、財産を実際に取得していなくても(手許に財産が来ていなくても)、財産を取得したものとみなされて、相続税が課税されるのです。

相続税法(一部抜粋加工)
第55条 未分割遺産に対する課税
相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする

その後に遺産分けの話し合いがまとまり、遺産分割が成立した場合には、一定の要件を満たせば、その分割内容に合わせた申告のやり直し(修正申告・更正の請求)をし、特例の適用を受けた上で、相続税の精算をすることができます。

想う相続税理士秘書

ただし、その後において当該財産の分割があり、当該共同相続人又は包括受遺者が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つて計算された課税価格と異なることとなつた場合においては、当該分割により取得した財産に係る課税価格を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは第32条第1項に規定する更正の請求をし、又は税務署長において更正若しくは決定をすることを妨げない。

亡くなった方が外国人である場合には注意

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋)
被相続人が外国人である場合の未分割遺産に対する課税
【照会要旨】
外国人が死亡した場合における相続税の総額の計算は、日本の民法の規定による相続人及び相続分を基として計算することとしていますが、各人の課税価格を計算する場合において、遺産が未分割のときは、日本の民法の規定による相続人及び相続分を基として計算するのか又は本国法の規定による相続人及び相続分を基として計算するのかいずれによりますか。
【回答要旨】
法の適用に関する通則法第36条により相続は被相続人の本国法によることとされていますから、被相続人の本国法の規定による相続人及び相続分を基として計算することとなります。

上記の相続税法第55条の「『民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとして』その課税価格を計算するものとする」の部分が、

法の適用に関する通則法(一部抜粋)
(相続)
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

の考え方により、「『亡くなった方の国の法律の規定による相続割合に従つて当該財産を取得したものとして』その課税価格を計算するものとする」的になります。

想う相続税理士

実際の計算では、「日本の民法で考える部分」「亡くなった方の本国法で考える部分」が混在することになるものと思われます。