相続税専門税理士の富山です。
今回は、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の特例における床面積要件について、お話します。
床面積が大きすぎても小さすぎてもダメ
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の要件
(1) 新築または取得の場合の要件
イ 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
(2) 増改築等の場合の要件
イ 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
上記からお分かりのとおり、この特例は、登記簿上の床面積が240㎡を超える場合には適用できず、また、40㎡に満たない場合にも適用できません。
床面積が小さい場合には合計所得金額要件が厳しくなる
受贈者の要件
次の要件のすべてを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。
上記にあるとおり、50㎡未満に場合には、合計所得金額が1,000万円以下でないと適用できません。
床面積要件を知らずに240㎡を超える家を建ててしまった場合にはどうする?
上記の「40平方メートル以上240平方メートル以下」という床面積要件を知らずに、例えば250㎡の家屋を新築してしまった場合で、課税を一時的に回避したい(贈与税の課税を回避したい)、というような場合には、相続時精算課税制度の住宅取得等資金バージョンの適用を検討するのも手です。
床面積の上限要件がないからです。
No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の要件
(1) 新築または取得の場合の要件
イ 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上(上限はありません。)で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
(2) 増改築等の場合の要件
イ 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上(上限はありません。)で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
ただし、相続時精算課税制度を適用した場合には、その(特定)贈与者からの贈与については暦年課税贈与には戻れない、基礎控除額を超える部分については相続税の課税対象になる、等の注意点があり、相続時精算課税制度を適用することでデメリットが生じる場合もありますので、ご注意を。
想う相続税理士
No.4103 相続時精算課税の選択
適用対象者
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫とされています。
No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
概要
令和8年12月31日までに、父母や祖父母などからの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。