相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に、農地中間管理機構(農地バンク)に貸している農地があった場合、その農地をどのように評価するかについて、お話します。
農地バンクに貸しているとちょっとだけ安くなる
農地中間管理機構に貸し付けられている農地の賃貸借については、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)の賃貸借の法定更新の規定の適用が除外され、また、同法第18条(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)の規定の適用が除外されるなど、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利は生じません。
そこで、農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地をお持ちの方に相続があった場合、その農地については、通常の相続税評価額(自用地としての評価額)の95%相当額で評価します。
ただし、農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき農地中間管理機構に貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものについては、農地法第17条本文及び同法18条第1項本文の規定が適用されますので、耕作権の目的となっている農地として評価します。
想う相続税理士秘書
農地中間管理機構・農地中間管理事業
農地中間管理機構は、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく公的団体です。
この農地中間管理事業の一環として、農業を辞める方や、その規模を縮小して続けていこうとする方から農地を借り、その農地を、効率化を図るために規模を拡大して農業をやっていこうとする方に貸し付ける事業が、農地中間管理機構を中心に行われています。
貸す側・借りる側双方にとって、間に公的機関が農地を預かる形式になるため、安心して賃貸することができます。
想う相続税理士
農地中間管理機構がは、両者の中間的受け皿としての役割を果たすのですが、どんな農地でも借り受けるワケではありません。
農地を集約して農業の効率化や高度化を進めることが狙いであるため、そのような効果が見込まれない場合には、借りてもらえません。
具体的には、農地自体が名ばかりで、農業の用に供することが難しくなっている場合や、そもそもその地域で新しく農業をやろうとする方がいらっしゃらなかったりするような場合です。