【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

非上場株式(同族会社株式)の相続・相続税対策と役員退職金①

相続税専門税理士の富山です。

今回は、非上場会社の株式の相続・相続税対策について、お話します。


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非上場会社の株式の相続の難しさ

非上場会社の株主(多くの場合には社長)に相続が発生した場合、その非上場会社の株式が相続財産となる

その非上場会社の株価(取引相場のない株式の評価額)が高いと、相続税の納税が大変である

しかし、非上場会社の株式は、会社の経営支配権の源泉である

後継者は必ず相続しなければならない

しかし、相続には他の相続人の思惑・損得が絡む

簡単に「後継者だから」と言って、その株式を相続できる(相続させてもらえる)とは限らない

相続の前に株式を後継者に移転する

上記のような事情があるため、相続まで待たずに、生前に株式を後継者に移転することも検討すべきである

これには、次の2つのメリットを享受できる側面がある

株価が安いうちに移転する

業績のいい会社の株価は、放っておくとドンドン上がる

将来の相続の時を考えると怖くなる場合もある

だったら生前に(将来に比べたら株価が安い時に)移転した方が税負担が少なくなる可能性がある

移転時期を決めることで株価対策が可能

非上場会社の株式に対する相続税対策を考える場合、相続時点の株価対策を考えようとしても、「相続はいつ発生するか分からない」ので、限界がある

それに対して、生前であれば、まず移転時期を決められる、その上で、その移転前に株価を下げておく、結果的に、低い株価で移転することができ、税負担が下がる

株価対策としての役員退職金

では、どうやって株価を下げるかというと、役員退職金を支払うのも一つの手である

役員退職金の支給により、会社に多額の経費が発生し、・会社の財産(現金)が大幅に減少する、結果として、株価が下がる

株価が下がらないこともある

役員退職金の支給により、「株価が下がる」のではなく「株価が上がる」場合もあるので注意が必要

「比準要素数1の会社」に該当した場合である

下記の記事をご参照ください。

想う相続税理士秘書

3期連続赤字の会社の株式は相続税評価額が下がっていて贈与しやすい? 比準要素数1の会社はいつの配当で株価が下がる?

注意すべきは、「資産を潤沢に保有している」けど「無配(配当ゼロ)」「ずっと赤字(赤字傾向)」の会社

そうすると、役員退職金を支払う事業年度(通常は、その事業年度の翌事業年度に株式を移転)の前事業年度・前々事業年度の会社の損益(所得)を確認しておく必要がある

役員退職金の支給を検討する事業年度よりも前の事業年度に、相続税対策を検討し始めたらすぐに、実際に株価を計算してみる(取引相場のない株式の評価をしてみる)

自分の会社の株価がどんな感じなのか、どう計算されるのかを把握する

その上で、退職金を支給したら株価がどうなるかをシミュレーションしてみる

想う相続税理士

頭の中で考えるより、現状の数字で実際に株価を計算してみて、その上で将来の所得や退職金の支給を織り込んだシミュレーションをしてみた方が絶対にイイです!