相続税専門税理士の富山です。
今回は、小規模宅地等の特例のうち特定同族会社事業用宅地等の要件について、お話します。
「相当の対価」要件は貸付事業用宅地等だけのモノではない
前回の記事で、小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等の要件としての「相当の対価」についてお話しました。
貸付事業用宅地等に該当するための「相当の対価」とは?この「相当の対価」は、実は「特定同族会社事業用宅地等」の要件でもあります。
租税特別措置法関係通達(一部抜粋加工)
69の4-23 法人の事業の用に供されていた宅地等の範囲
措置法第69条の4第3項第3号(特定同族会社事業用宅地等)に規定する法人の事業の用に供されていた宅地等とは、次に掲げる宅地等のうち同号に規定する法人(同号に規定する申告期限において清算中の法人を除く。以下69の4-24までにおいて同じ。)の事業の用に供されていたものをいうものとする。
(1) 当該法人に貸し付けられていた宅地等(当該貸付けが同条第1項に規定する事業に該当する場合に限る。)
(2) 当該法人の事業の用に供されていた建物等で、被相続人が所有していたもの又は被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族が所有していたもの(当該親族が当該建物等の敷地を被相続人から無償で借り受けていた場合における当該建物等に限る。)で、当該法人に貸し付けられていたもの(当該貸付けが同項に規定する事業に該当する場合に限る。)の敷地の用に供されていたもの
上記の(同条第1項に規定する・同項に規定する)「事業」は、下記の部分です。
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(第3項において「被相続人等」という。)の事業(事業に準ずるものとして政令で定めるものを含む。同項において同じ。)の用又は居住の用
つまり、前回の記事でお話した内容と同じです。
大きな形態としては特定同族会社事業用宅地等も貸付事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等は、同族会社に宅地等を貸す、または、宅地等の上の建物等を貸す、という形態ですから、亡くなった方から見れば「貸付事業」です。
貸付事業用宅地等と同じように、「相当の対価」で同族会社に貸すことが要件となります。
身内だから地代家賃が安くなっている可能性有
特定同族会社事業用宅地等の同族会社は、親族経営・親族所有の会社です。
つまり「身内の会社」です。
その会社の資金繰りが悪かったりすると、身内なので簡単に地代や家賃を引き下げているかもしれません。
その結果、「相当の対価」で貸していないことになり、特例の適用ができない状態になっている可能性がありますので、ご注意を。
想う相続税理士