相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産である家屋が、過去に増改築されている場合の評価について、お話します。
家屋はどうやって評価する?
相続税の申告において、家屋は
固定資産税評価額×1.0
で計算します(アパートなどの貸家の場合には、借家権割合や賃貸割合も加味します)。
固定資産税評価額は、固定資産評価証明書や名寄帳、固定資産税の課税明細書などを見れば分かります。
家屋を増築した場合、固定資産評価証明書などに、その増築した部分が別建てで記載される場合があります。
パッと見ると、建物が2つあるような感じです。
でも、所在地や家屋番号が同じです。
このような場合には、それぞれの固定資産税評価額を元に計算すればいいのですが、家屋を増改築したのに、記載されている建物の数も変わらず、その固定資産税評価額もほぼ変わらない、というような場合もあります。
増改築部分が反映していない場合にはどうする?
家屋を増改築したのに、それが固定資産税評価額に反映していない場合には、その増改築部分を自分で計算する必要があります。
国税庁(一部抜粋加工)
質疑応答事例
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価
その増改築等に係る部分の再建築価額から相続開始時点までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額
この「再建築価額」とは、「相続開始時点においてその財産を新たに建築又は設備するために要する費用の額の合計額」ですが、課税上弊害がなければ、増改築にかかった金額を使用して問題ないモノと思われます。
また「償却費相当額」は、ザックリ言えば減価償却をするワケですが、残存価額10%を考慮して定額法っぽく(つまり「旧定額法」的に)計算します。
そして、増改築の時から相続開始時点までの期間に相当する年数については、1年未満の端数があるときは、その端数は1年として計算します。
相続開始後に固定資産税評価額が変わったら?
相続開始が令和3年12月で、令和3年度の固定資産税の課税明細書に記載された固定資産税評価額は、増改築が考慮されていなかったけれども、翌年の春に送られてきた令和4年度の固定資産税の課税明細書を見ると、増改築が考慮された金額になっていた、という場合、その翌年の金額で計算します。
国税庁(一部抜粋加工)
質疑応答事例
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価
課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額
想う相続税理士