【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

申告期限の自動延長で相続税が高くなる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、災害等により相続税の申告期限が延長された場合の注意点について、お話します。


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小規模宅地等の特例を適用する際に課される要件とは?

相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

この特例には、複数の適用パターンがあり、そのパターンごとに要件があります。

最も使われていると思われるパターンは、亡くなった方のご自宅の敷地等に適用できる「特定居住用宅地等」ですが、このパターンの場合、取得者等の要件の他、申告期限まで居住し続ける「居住継続要件」、申告期限まで所有し続ける「所有継続要件」が課されます。

想う相続税理士

例えば、亡くなった方のご自宅に同居されていた親族がご自宅の敷地を相続で取得する場合、相続税の申告期限まで引っ越さずにそのご自宅に居住し続け、相続税の申告期限までそのご自宅の敷地を売却せず所有し続ける、ということが要件となります。

相続税の申告期限が自動延長される場合がある

災害の発生等により、相続税の申告期限が自動的に延長される場合があります。

過去の例を見てみます。

国税庁HP
令和元年台風第19号により被害を受けられた方へ(一部抜粋加工)
Ⅲ 申告期限の延長について
相続等により財産を取得した相続人等又は贈与により財産を取得した方が、上記Ⅰ1の特例の適用を受けることができる場合の相続税又は贈与税の申告期限は、次のとおりとなります。
なお、相続税について、相続人等のうちに、上記Ⅰ1の特例の適用を受けることができる方がいる場合には、その相続人等の全員の申告期限が次の期限(下記表のとおり)まで延長されます。

税目 財産の取得時期(相続開始の日又は贈与の日) 申告期限
相続税 平成30年12月10日~令和元年10月9日 令和2年8月11日
贈与税 平成31年1月1日~令和元年10月9日 令和2年8月11日
上記の「上記Ⅰ1」とは、特定非常災害により被災者生活再建支援法第3条第1項の規定の適用を受ける地域(「特定地域」)内にある土地等について調整率を乗じて計算できる特例評価のことです。

想う相続税理士秘書

居住継続や所有継続の期限も自動延長される!

相続財産の中に特定地域内にある土地等がある場合には、上記の「令和2年8月11日」まで申告期限が自動延長されました。

このような場合、「申告に支障が出なかったので通常の10ヶ月以内に申告した」という場合でも、申告期限自体は自動延長されています。

ということは、上記の「居住継続要件」「所有継続要件」「『申告期限』まで」「申告期限」「令和2年8月11日」になっています。

つまり、通常であれば10ヶ月間、居住・所有を継続すれば要件をクリアできたのですが、申告期限の延長により、「令和2年8月11日」まで居住・所有を継続しないと、要件をクリアできなくなる(結果として、特例が適用できなくなり相続税が高くなる)のです。

想う相続税理士

申告期限が自動延長されて、期限内申告がしやすくなる半面、居住・所有の継続の負担が重くなる(通常よりも長期間しなければならなくなる)のです。