相続税専門税理士の富山です。
今回は、事例を元に、重加算税が課税される要件などについて、お話します。
事例の概要:意図的に隠そうとしていなかった?
税理士に依頼して相続税の申告書を提出した
お母様が相続人だったが、税務調査の年にお亡くなりになっている、そのため、そのお母様の子供(亡くなった方から見た弟)がお母様の相続税(修正申告)の納税義務を承継した
お母様が税理士に存在を伝えていない預金があった
その預金の存在を伝えなかったのが、過失によるものなのか、意図的なものなのかは分からない
お母様は、預金の解約手続きを自分で行ったが、その相続した預金と同じ金融機関にある自分の預金口座に入金している(税務署にバレないように他の金融機関に預けたり、自分以外の名義の口座に入金したりしていない
税務調査の際、調査官にその預金の存在を指摘されたら、その通帳を保管しておいて提示した
調査官に申告漏れを指摘されると、言い訳することなく事実を認めて修正申告をしている
相続財産を少なく申告しようとしたことがうかがえない
重加算税が課税される場合とは?
税務署が重加算税を課税するためには、「申告しなかったという隠ぺい仮装行為とは別の隠ぺい仮装と評すべき行為」が存在することが要件となる
当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合に、重加算税が課される
弟さん(請求人)の主張
お兄さんが闘病生活をされている間、お母様はお兄さんの預金の管理をしていたため、その預金を自己の財産と認識していた、だから申告しなかった
相続財産だと認識していて申告から除外した(隠ぺいした)のではなく、元々相続財産だと認識していなかったから申告から除外した、だから隠す気もない、税務署にその存在が見つかっても問題ないと思っていたから、同じ金融機関の口座に入金したし、通帳も保管していた
想う相続税理士
亡くなった旦那さんが稼いだお金を奥さんが管理していると、「これは旦那のお金というよりは、家庭のお金であり、旦那の相続財産ではない」と奥様が認識されている場合があるのです。
税務署は、亡くなった方の分だけでなく、その方の相続人やその他の親族の過去の預貯金の動きも精査します。
奥さんの通帳の内容は間違いなくチェックされますので、申告もれにならないよう、ご注意を。