【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

借入金の返済を免除してもらったら贈与になる

相続税専門税理士の富山です。

今回は、借入金の免除や返済資金の援助は贈与税の課税対象になる、ということについて、お話します。


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貸付は贈与には該当しない

長男が高級車を購入したいと考えているとします。

でも、自己資金がありません。

そこで、父親が長男に1,000万円のお金をあげたとします。

これは「贈与」ですから、贈与税の課税対象となります。

そうではなく、父親が長男に1,000万円のお金を貸したとします。

10年間で毎年100万円ずつ返済する、という契約書を交わしました。

父親から見れば貸付、長男から見れば借入です。

これは「贈与」ではありません。

「貸す」ということは、将来的にお金が返ってくるからです。

それを前提として「貸す」のです。

借入金を免除してもらったら贈与になる

長男は、お金を借りたのはいいのですが、3年目からは返済できなくなってしまいました(1年目・2年目は100万円ずつ何とか返済しました)。

そこで、父親に「借金は無かったことにして欲しい」とお願いし、父親がそれを承諾したとします。

この場合、長男は「800万円を返さなくてよくなった」という「トク(経済的利益)」を得ることになりますので、それが贈与税の課税対象になります。

分割して債務免除を受ければ課税されない?

残高800万円の借入金全額について債務免除を受けると、800万円が贈与税の課税対象になります。

「それなら、毎年100万円ずつ債務免除を受ければいいのでは?そうすれば、110万円の非課税枠に収まるから贈与税は課税されないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、800万円の借入金について、毎年債務免除を受けるということは、事実上「借入金を返済しない」ということになります。

上記でお話したように、「貸す」ということは、将来的にお金が返ってくるから「贈与」にならないのです。

お金が返ってこない(父親の方から見れば「債権放棄をする」、長男の方から見れば「債務免除を受ける」)ということは、「貸す」ということにはなりません。

つまり、経済的実質として、3年目に800万円の贈与(経済的利益)を受けた、と認定されるリスクがあります。

その場合には、その800万円が返済3年目の年における贈与税の課税対象となります。

想う相続税理士

「1,000万円借りて、最終的には200万円しか返していない(返さなかった)」ということは、税務署の目で見ると、「ちゃんと契約したのに何で返さないの?」「それって親子間だからじゃないの?」「(返済するつもりはあったけど、たまたま毎年返済できなかったので、その年その年ごとに債務免除を受けたって言うけど)そんなの3年目にもう返さないって親子間でいいように決めたんでしょ?」「何で契約を守らないの?」「何で守れない契約をしたの?」というような話になることが予想されます。