相続税専門税理士の富山です。
今回から不定期で(場合によっては順不同で)、相続税申告における土地の評価単位の判定について、お話します。
評価単位が変われば土地の形や大きさが変わる(相続税が変わる)
相続税申告におけるサブリース契約に係る貸家建付地評価の注意点上記の記事において、
評価単位によって、土地の相続税評価額は大きく変わることがあります。
評価単位の検討は、評価の入口です。
ここを間違うと、いくら奥行価格補正率や不整形地補正率をきちんと計算しても、正しい評価にはなりません。
とお話しました。
ザックリ言うと、見た目が2つの土地を全体で1つの土地として評価するのか、2つ別々の土地として評価するのかで、道路付けが変わり(評価に加味する路線価が変わり)、土地の形が変わり(土地の評価において適用する各種補正率が変わり)、土地の面積が変わる(「地積規模の大きな宅地の評価」の適用により安く評価できるかどうかが変わる)、というようなことになります。
結果として、土地の相続税評価額が変わりますので、相続税が変わります。
上記の記事で取り上げたのは、アパートやマンション等の賃貸物件の敷地のケースなのですが、このような「評価単位」の判定を、どのような順番で検討すればいいのか、ということについて、考えてみます。
想う相続税理士秘書
【1】地目ごとに評価単位を分ける
財産評価基本通達(一部抜粋)
7 土地の評価上の区分
土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。
(1) 宅地
(2) 田
(3) 畑
(4) 山林
(5) 原野
(6) 牧場
(7) 池沼
(8) 削除
(9) 鉱泉地
(10) 雑種地
宅地と畑が隣り合っていたら、どっちも自分が使っているからといって、一体で(1つの土地として)評価するというワケではありません。
路線価が付されている道沿いに自宅があり、その自宅の奥に畑がある、という場合、自宅(宅地)と畑は地目が異なるため別々に評価します。
畑が路線価が付されている道に接していないから、宅地と一緒に評価する、ということにはなりません。
地目はどうやって判定する?
評価対象地が、上記の「宅地」から「雑種地」までのどの地目に該当するのかを検討する場合、「不動産登記事務取扱手続準則第68条・第69条」を参考にします。
これによると、例えば「宅地」は、建物が建っている場所、ではなく、「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地」と定められています。
また、「テニスコート又はプールについては、宅地に接続するものは宅地とし、その他は雑種地とする。」というような定めもあります。
地目の判定について迷ったら、「常識的にはこれだろ」と勝手に判断せず、まず、この不動産登記事務取扱手続準則を確認しましょう。
想う相続税理士
登記簿上の地目を基に判定するワケではありませんし、また、固定資産評価証明書上の「現況地目」が実際の地目と異なる場合もありますので、ご注意を。