相続税専門税理士の富山です。
今回は、定期借地権の評価について、お話します。
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原則法(だけど例外的評価方法)
下記の「簡便法」を適用すると、課税上問題がある場合には、この原則法を採用しなければならない
「権利金の追加払い」がある場合や「設定時からの時の経過により相続開始時点の地代が相場に比べて大きくズレている」場合などは原則法
簡便法(だけど一般的評価方法)
①:相続開始時点のその宅地の自用地としての相続税評価額
②:定期借地権設定時に借地人に帰属する経済的利益に総額
③:定期借地権設定時のその宅地の通常の取引価額
④:相続開始時点の定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
⑤:定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
①は、定期借地権云々を考えず、権利関係を考慮せず、普通に計算した相続税評価額
③は、その土地の「時価」、①の「相続税評価額」を1.25倍して計算しても可
「②定期借地権設定時に借地人に帰属する経済的利益に総額」とは?
想う相続税理士秘書
設定時に支払った(財産を供与する場合も含む)権利金・協力金・礼金などで借地契約終了時に返還されないものがある場合
その金額(財産の価額)
返さなくていいモノなので、要は、地主にとっての収入(「トク」)、つまり、借地権の対価(お金をもらっているので地主は借地権を主張されたら文句を言えない)と考えられる
設定時に支払った保証金・敷金等で借地契約終了時に返還されるものがある場合
例えば、設定期間50年で1,000万円の保証金を支払った場合、地主は50年後に1,000万円を返せばいい、50年もあれば、ザックリ言うと利息が付くんだから、設定時点で1,000万円なくても、運用すれば1,000万円になる、例えば、900万円あれば、50年後に1,000万円になるのであれば、1,000万円△900万円=100万円の「差額」が地主にとっての収入、つまり、借地権の対価と考えられる
上記の話は、地主がその預かった保証金・敷金等に対して基準年利率以上の利息を支払っている場合には該当しない(預かっても、その分の利息をちゃんと支払っていれば「トク」にならないから)
上記の話は、保証金・敷金等が無利息であることが前提
もし、基準年利率未満の利息を支払っている場合には、その分は「トク」しない、例えば、50年間で20万円の利息を支払うのであれば、その分だけ「トク」が少なくなる、つまり、1,000万円△900万円△20万円=80万円の最終「差額」が地主にとっての収入、つまり、借地権の対価と考えられる
低額な地代が設定されたことにより実質的な贈与が発生している場合
差額年額地代を設定期間年数ベースにした金額
土地=底地+借地(権)
地代は底地(借地権以外の部分)に対して支払う、その地代が少ない(低額)ということは、底地が小さい、ということ、底地が小さいのであれば、その分、借地権が大きいハズ、という理屈によるモノ
想う相続税理士