相続税専門税理士の富山です。
今回は、建物の附属設備が相続税の課税対象になるか、ということについて、お話します。
建物は「分解」して経費にする
アパートを建築した場合、アパートの建築費用は、不動産所得を計算する際の経費になりますが、払った時に全額経費になるワケではありません。
減価償却により、何年かに渡って経費にしていきます。
10年持つ(使える)のであれば、10年間で経費にしていきます。
経費を計算する際の、この「○年持つ(「耐用年数」と言います)」というのは、資産の種類等ごとに決められています。
アパート建築時の工事請負契約書等の明細を見ると、「建物の分○○円、附属設備の分○○円」等と内訳が明記されているハズです。
「計算上何年持つか」は、「建物」「附属設備」(それぞれさらにもっと細かく分類されます)等によって異なります。
10年で経費化が終わるモノもあれば、20年のモノもあります。
ですから、アパート経営をされている方の確定申告書の固定資産台帳のようなところを見ると、アパートが1棟しかなくても、「建物」「附属設備」等といろいろな資産に区分して計上されていて、それぞれの耐用年数で経費を計算しているハズです。
建物はどうやって評価する?
アパートの大家さんがお亡くなりになった場合、そのアパートの建物は相続税の課税対象となります。
建物は「固定資産税評価額」をベースに評価します。
固定資産台帳の金額は使いません。
そうすると、確定申告書に「建物」「附属設備」が計上されていた場合、「建物」については固定資産税評価額をベースに計算し、「附属設備」については、固定資産台帳に記載された金額をベースに計算することになるのでしょうか?
建物に含まれている附属設備は評価しない
附属設備は、建物と構造上一体になっていれば、その建物の評価額に反映しています。
ですから、さらに附属設備の分を計上してしまうと、二重に計上してしまうことになるため、評価は不要です。
財産評価基本通達(一部抜粋)
92 附属設備等の評価
附属設備等の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
(1) 家屋と構造上一体となっている設備
家屋の所有者が有する電気設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト、電話機、電話交換機及びタイムレコーダー等を除く。)、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、消火設備、避雷針設備、昇降設備、じんかい処理設備等で、その家屋に取り付けられ、その家屋と構造上一体となっているものについては、その家屋の価額に含めて評価する。
想う相続税理士