相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告における土地建物の把握について、お話します。
固定資産税の課税明細書は固定資産税を課税するための通知
相続税申告における土地や建物の評価方法に精通していても、土地や建物の把握に失敗すると、相続税の申告も失敗します(申告もれが発生します)。
「土地や建物なら、毎年春に役所から固定資産税の通知が届いて、そこに一覧が記載されているから大丈夫なのでは?」と思われるかもしれません。
確かに、毎年春になると、固定資産税の納税通知書・課税明細書が届きます。
しかし、これは固定資産税を払ってもらうために役所が送ってくる書類であり、例えば、固定資産税が非課税となる公衆用道路が記載されていなかったりします。
役所が「公衆用道路」とした土地も、相続税の課税対象になる場合があります。
役所で固定資産評価証明書を取得する
相続財産である土地建物の一覧を取得したいのであれば、役所で「固定資産評価証明書」を取得しましょう。
私の地元の足利市役所のHPでも、「固定資産税・都市計画税の納税通知書について」のページに次のように書かれています。
自分の所有している資産を確認したい場合
賦課期日(1月1日)現在で所有している資産を確認したい場合は、足利市役所市民課にて全資産評価証明書を取得(有料)することができます。
相続登記をしていない土地や建物はないか?
現時点では今回亡くなった方の名義になっていなかったとしても、今回亡くなった方の相続財産として申告すべき土地や建物があるかもしれません。
今回亡くなった方が過去の相続で取得した土地や建物があり、その相続登記をホッタラカシにしたまま、今回の相続が発生したりしていないでしょうか?
遺産分けの話し合いがまとまらないままホッタラカシ(当然、相続登記もホッタラカシ)になっている土地や建物があったりしないでしょうか?
不安な場合には、親戚に確認しましょう。
また、親戚(特に親兄弟)との共有になっていたり、亡くなった方が事業(農業等)を営んでいた場合には、その事業仲間の方と共有で土地(農産物の集積や加工のための場所等)を所有していたりする場合があります。
よく分からなければ、そのようなものがないかについても、親戚の方に確認しましょう。
持分は全部事項証明書(登記情報)で確認すること
役所で亡くなった方の固定資産評価証明書を取得してみたら、所有者欄に「○○ ○○(亡くなった方のお名前)様」と書かれていたとしても、亡くなった方が単独で所有(100%所有)していない場合があります(実際に経験あり。司法書士の先生に確認したところ、そういうことはあるそうです)。
土地建物の全部事項証明書(登記情報)を取得して、持分を確認しましょう。
想う相続税理士