【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続時精算課税制度が相続対策として有効活用できるフェーズとは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税制度が活用できるのはどんな時か、ということについて、お話します。


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かなり値上がりすることが高い確率で見込まれる財産がある

相続時精算課税贈与財産は、相続税が課税されて課税が完結します。

贈与時に2,500万円の特別控除額を超えた部分に対して20%の贈与税が課税されても、それは相続税の前払い的なものであり、相続時に相続税の申告で精算され、控除・還付されます。

ただし、その相続税が課税される金額は、相続時の評価額ではなく、贈与時の評価額です。

A財産の202X年時点の評価額:2,000万円
A財産の203X年時点の予想評価額:1億円
A財産所有者相続発生見込:203X年

上記の場合、A財産を贈与をしなければ、相続時(203X年)の評価額である1億円に相続税が課税されます。

202X年にA財産の相続時精算課税贈与をすれば、贈与時(202X年)の評価額である2,000万円に相続税が課税されます。

相続税が課税されるのは同じですが、課税される相続税の金額は大きく異なります。

果実を生み続ける財産がある

不動産からは地代家賃が、有価証券からは配当が生み出されます。

その地代家賃や配当は、その不動産や有価証券の所有者のモノです。

地代家賃や配当がどんどん生み出される不動産や有価証券を持っていると、その不動産や有価証券が上記のA財産のように値上がりしなくても、その地代家賃や配当として受け取る現金が所有者の手元でどんどん増えれば、現金という財産の金額(評価額)が増え、その分だけ相続税が高くなります。

そのような不動産や有価証券の生前贈与をすれば、その増える現金は、新たな所有者である受贈者(不動産や有価証券をもらった方)のモノになるため、相続財産としての現金の増加を抑制することができます。

特別な権利・意味を持つ財産がある

「非上場株式(同族会社の株式)の所有」には、「その会社の経営支配権の確保」の意味合いがあります。

社長になっているだけでは、解任されるリスクがあります。

会社を守るためには、その会社の株式を所有する(他の人に渡さない)必要があります。

相続税の節税ウンヌンではなく、会社を守るために、遺産分けで株の行方がどうなるか分からない相続まで待たずに、生前贈与でその同族会社の株式Bを取得しておくことも検討すべきです。

会社を経営していなくても、財産の中に、将来相続人となる方(Cさん)がタダで借りて既にご自宅を構えている土地Dがあり、Cさんが、相続の時だと遺産分けで自分がその土地Dを取得できるか分からないから、早めに生前贈与で土地Dを取得しておきたい、という場合もあるでしょう。

暦年課税の贈与税の税率は高いから

上記の「果実を生み続ける財産」「特別な権利・意味を持つ財産」も、通常の暦年課税贈与だと多額の贈与税がかかってしまう場合が多いです。

そのような場合、相続時精算課税贈与なら、税負担を下げ(一般的には、贈与税の税負担率よりも、相続税の税負担率の方が低くなります)、(今ではなく相続時まで)課税を先送りすることができます。

相続時精算課税贈与は、相続税が課税され、相続税の申告に載ってくるため、相続の時に他の相続人が申告書を見れば、過去に贈与があったことがバレますので、ご注意を。

想う相続税理士秘書

推定相続人に多額の資金ニーズがある

将来Eさんの相続人となる方(Fさん)に大きな借金があり、なかなか返せない、というような場合、その返済資金としての現金Gの相続時精算課税贈与をすれば、Fさんにとっては助かる、という場合もあります。

将来、Eさんに相続が発生した場合、その現金Gを含めて相続税を計算しても相続税が出なければ、結果として無税で早期に返済資金原資を移転することができます。

想う相続税理士

相続時精算課税贈与後に財産が値下がりしても、値下がり前の評価額で相続税が課税されますので、ご注意を。